
事故物件のリフォームの費用はいくら?相場や注意点を解説!
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「事故物件の建物を取り壊して更地にすれば、過去の出来事もリセットされ、告知義務も無くなるのでは?」という考えは非常に危険な誤解です。
事故物件を更地にしても、心理的瑕疵はなくならず、売主の告知義務は継続します。
この事実を知らずに売却を進めると、後に買主との間で深刻なトラブルに発展し、損害賠償を請求されるリスクもあります。
この記事では、事故物件の告知義務から、更地化のメリット・デメリット、そして事故物件をスムーズに売却できる「買取」という方法について解説します。
目次
事故物件の売却において最も重要なのが告知義務です。
建物がなくなっても、その土地で起きた事実は消えず、告知義務もなくなりません。
ここでは、告知義務の範囲と期間、違反した場合のリスクを解説します。
不動産取引における告知義務は、長らく明確な基準がありませんでしたが、2021年10月に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。
これにより、どのような事故の場合は告知すべきかが明確化されています。
ガイドラインでは、他殺、自殺、事故死があった場合、告知義務の対象としています。
病死や老衰といった自然死や、日常生活の中での不慮の事故(階段からの転落など)、原則として告知義務の対象外ですが、発見が遅れて特殊清掃が必要になった孤独死などは例外的に告知が必要です。
建物を取り壊して更地にしても、これらの告知義務が消滅するとは定められておらず、買主に瑕疵があることを伝える必要があります。
告知義務の期間は、賃貸契約と売買契約で大きく異なります。
賃貸物件の場合、人の死の発覚から概ね3年間が告知の目安とされています。
しかし、売買契約においては、告知義務に期間の定めはありません。
50年以上前に殺人事件があり、その後更地になった土地の売買で、事件を告知しなかった売主に対して契約解除が認められた判例もあります。
たとえ何十年経っても、その土地で起きた重大な事実は、資産価値に影響を与える情報として伝え続ける必要があります。
もし事故物件であることを意図的に隠して売却した場合、売主は「契約不適合責任」を追及され、以下のようなリスクを負う可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約解除 | 買主や借主が事故物件であることを知らずに契約してしまった場合、契約を解除される可能性があります。 |
| 損害賠償請求 | 損害賠償の範囲は広く、賃料、礼金、保証料、引越料、慰謝料、弁護士費用などが請求されることもあります。 |
| 代金減額請求 | 物件が契約の内容に適合しない場合、買主や借主から代金の減額を請求される可能性があります。 |
告知義務がなくならないとしても、更地化にはいくつかのメリットがあります。
ただし、デメリットもありますので、両方を慎重に比較検討することが重要です。
更地化の最大のメリットは、事件や事故を想起させる建物そのものがなくなることで、心理的なイメージを払拭しやすくなる点です。
建物が存在すると、どうしても過去の出来事と結びつけられがちですが、広々とした土地になれば、買主も「新たな可能性を秘めた土地」として前向きに検討しやすくなるでしょう。
近隣住民の記憶が時間と共に薄れやすくなる効果も期待できます。
建物がなくなることで、土地の利用用途が広がります。
買主は、注文住宅の建築用地としてだけでなく、駐車場や資材置き場、あるいは商業施設用地など、多岐にわたる活用法を検討できます。
特に立地が良い場所であれば、住宅用地としてだけでなく、事業用地としての需要も見込めるため、買い手の幅が広がる可能性があります。
ここでは、事故物件を更地化するデメリットを解説します。
更地化には、当然ながら建物の解体費用が発生します。
この費用は決して安くありません。
一般的な木造住宅の場合でも100万円から400万円程度が相場となり、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合はさらに高額になります。
アスベスト除去などが必要になれば、追加で多額の費用がかかることもあり、売却益を大きく圧迫する要因となります。
更地化における最大の経済的デメリットは、固定資産税や都市計画税の増加です。
建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税は最大で6分の1、都市計画税は最大で3分の1に軽減されています。
しかし、建物を解体して更地にするとこの特例が適用外となり、固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍に跳ね上がります。
更地化した後、売却が長引けば長引くほど、この税負担が重くのしかかります。
前述の通り、更地にしても心理的瑕疵はなくならず、売却価格に影響します。
買主は告知された事実を基に価格交渉を行うため、結局は相場よりも安い価格での取引となるケースがほとんどです。
事件性の高い他殺などでは、相場より50%以上価格が下がることも珍しくありません。
多額の解体費用と税金を負担した挙句、期待した価格では売れないという結果になりかねません。
リスクやデメリットの多い更地化を避け、事故物件を安心かつスムーズに売却するなら、事故物件を専門に扱う買取業者に直接売却するのがおすすめです。
不動産の売却方法には、不動産会社が買主を探す「仲介」と、不動産会社自身が買主となる「買取」があります。
表からもわかるように、買取は価格面で仲介に劣るものの、より早く、免責で、近隣に知られず売却できるというメリットがあります。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却スピード | 数ヶ月~1年以上 | 最短1ヶ月 |
| 売却価格 | 市場価格に近い | 市場価格の7~8割程度 |
| 買主 | 主に個人 | 不動産買取業者 |
| 契約不適合責任 | 売主が負う | 原則免責される |
| 手間 | 残置物の処分や内覧対応 | 残置物ありでもOK・内覧不要 |
| 仲介手数料 | 必要 | 不要 |
| プライバシー | 広告掲載などを行う | 近隣に知られず売却できる |
事故物件に特化した買取業者は、事故物件の再生ノウハウを熟知しているため、一般市場では敬遠される物件でもスピーディーかつ確実に買い取ってくれます。
また、特殊清掃や遺品整理が必要な場合でも、現状のまま引き渡せるケースがほとんどです。
売主が悲しい現場に何度も足を運び、片付けをする精神的・肉体的負担から解放される点は、金銭的なメリット以上に大きいと言えるでしょう。
買取を選ぶ最大のメリットは、「契約不適合責任の免責」です。
仲介で個人に売却した場合、売却後に追加で欠陥が見つかると、売主が修理費用などを負担する責任を負います。
しかし、専門の買取業者は物件の状態をすべて理解した上で買い取るため、この責任を免除する契約を結ぶのが一般的です。
これにより、売主は売却後に予期せぬトラブルに巻き込まれる心配がなくなり、安心して取引を終えることができます。
最後に、後悔しないために信頼できる買取業者を選ぶためのポイントを解説します。
複数の業者を比較し、慎重に判断しましょう。
まず確認すべきは、その業者の買取実績です。
単に「不動産買取」を謳っているだけでなく、事故物件や訳あり物件を専門的に扱ってきた実績が豊富かどうかを公式サイトなどで確認しましょう。
多くの事例を経験している業者は、複雑な状況にも対応できるノウハウとネットワークを持っています。
お客様の声や具体的な買取事例が掲載されていれば、信頼性を判断する良い材料になります。
査定を依頼した際は、提示された金額だけでなく、「なぜその査定額になったのか」という根拠を必ず確認してください。
信頼できる業者は、周辺の相場、物件の状態、そして心理的瑕疵による価格への影響などを、データに基づいて丁寧に説明してくれます。
逆に、説明が曖昧だったり、契約を急かしたりする業者は注意が必要です。
納得できるまで質問し、誠実に対応してくれる業者を選びましょう。
最終的に契約を結ぶ前には、契約書の内容を隅々まで確認することが不可欠です。
特に最も重要なのが、「売主の契約不適合責任を免責する」という文言が明確に記載されているかどうかです。
口約束だけでは効力がありません。
この条項がなければ、買取を選ぶ大きなメリットが失われてしまいます。
少しでも不明な点があれば、署名・捺印する前に必ず不動産会社に質問しましょう。
事故物件を更地にしても、売主の告知義務はなくなりません。
安易な更地化は、多額の解体費用や税金の増加といった経済的負担を招きます。
事故物件を売却するなら、専門業者に買い取ってもらうのがおすすめです。
買取であれば、迅速に手間なく売却できるほか、売却後のトラブルリスクである契約不適合責任からも解放されます。
物件を所有し続けることは、精神的にも経済的にも負担となります。
訳あり不動産相談所では完全無料で相談を受け付けておりますので、お困りの方はぜひご連絡ください。
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