
大島てる氏に聞く|事故物件は本当に売れない?取引の実態と購入される理由
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事故物件公示サイト「大島てる」に物件が掲載されると、「削除できないのか」「いつまで掲載されるのか」と不安に感じる所有者もいるのではないでしょうか。
「大島てる」は独自の掲載基準に基づいて運営されており、掲載された物件はすべて削除できるわけではありません。
そこで今回は、「大島てる」運営代表の大島てる氏にインタビューを実施し、削除依頼の実態や掲載・削除の判断基準、さらに掲載判断に迷った事例について詳しく伺いました。
目次

事故物件公示サイト「大島てる」の運営代表。
2005年に同サイトを開設し、日本を中心に世界の事故物件情報を公開している。
テレビや新聞、ウェブメディアなどでも事故物件に関する解説も行っている。

インタビュアー:
「大島てる」には日々多くの情報が投稿されていますが、削除依頼はどのくらい寄せられるのでしょうか。

大島てる氏:
削除請求は郵送で受け付けていて、平均すると1日3通ほど届きます。
年間では1,000通以上の削除請求が届きますね。
SNSのDMなどで削除依頼が届くこともありますが、本当に関係者か確認できないため対応していません。
また、削除依頼がなくても、明らかに不適切な情報については発見次第削除しています。
事実と異なる情報はもちろん削除対象ですが、それだけではありません。
例えば、駅での人身事故や道路上の交通事故、反社会的勢力に関する情報など、事故物件と無関係な投稿は削除対象です。
住宅内で事故が発生しても一命を取り留めたケースや、重複している投稿も削除しています。
情報自体は正しくても、事故物件の情報として掲載するのが適切ではないと判断した場合は削除しています。

インタビュアー:
不動産取引における告知義務と、「大島てる」の掲載基準は同じなのでしょうか。
例えば国土交通省のガイドラインでは、自然死は原則として告知義務の対象外ですが、特殊清掃が必要な場合は告知義務が発生します。
「大島てる」では、どのような基準で掲載の可否を判断しているのでしょうか。

大島てる氏:
告知義務がある物件だけを掲載しているわけではありません。
自然死であっても事実であれば掲載しますし、苦情があっても削除しません。
国土交通省のガイドラインでは、3年が告知義務の一つの目安になっています。
しかし、5年前や10年前の出来事でも気にする人はいますし、個人的には3年という期間は短いと考えています。
もちろん、3年経過後に告知しない不動産会社は悪いと言うつもりはありません。
あくまで不動産取引のルールと、「大島てる」の掲載基準は別だということです。
「大島てる」ですべての事故物件を掲載できているわけではありませんが、掲載されている情報については、正確なものだけが残るよう努めています。

インタビュアー:
これまで掲載するかどうか判断に迷った事例はありますか。

大島てる氏:
たくさんあります。
特に印象に残っているのは、浅草近くのマンションで起きた飛び降り自殺の事例です。

※事故物件公示サイト「大島てる」に掲載されている浅草周辺の情報。地図上には事故物件を示す炎のアイコンが多数表示されている。大島氏が語るマンションも、この中のどこかに掲載されている。

大島てる氏:
とあるマンションで飛び降り自殺があったのですが、飛び降りたところとは別のマンションに着地してしまいました。
そうすると、飛び降りがあったマンションと、実際に亡くなった場所のマンション双方が関係してきます。
両方の管理組合や関係者の方が、「事故物件なのはうちではなく隣だ」と主張していました。
かなり迷いましたが、それぞれのマンションにどのようなイメージを持つかは、消費者が決めることだと思い、最終的には両方のマンションを掲載しました。

インタビュアー:
飛び降りた場所と亡くなった場所が異なる場合だと、判断が難しいですね。

大島てる氏:
似たような事例は他にもありますよ。
例えば、マンションから飛び降りて消防署の敷地内で亡くなった事例もあります。
その場合、消防署は居住用の物件ではないため掲載せず、マンションのみ掲載しています。
また、飛び降りによって道路上に転落することもあります。
建物の関係者からは「亡くなった場所は道路だからこの建物とは関係ない」と言われることもありますが、「あの建物から飛び降りた」という事実は変わりません。
そのため、掲載対象になります。
ただし、掲載対象であることと、不動産取引で告知義務が発生するかどうかは別問題です。
大島てるでは、「こうした出来事があった」という事実を掲載しているだけです。
その情報を説明しない業者が悪質だと言うつもりもありませんし、3年経過したから掲載しないという考え方でもありません。
「大島てる」は国土交通省の告知ガイドラインに縛られて運営しているわけではなく、事実を記録して公開するという考え方を根底に置いています。
今回のインタビューでは、「大島てる」の削除依頼の実態や掲載基準について伺いました。
「大島てる」の掲載基準と不動産取引における告知義務は別の考え方であり、告知義務がない事案でも事実であれば掲載されることがあります。
事故物件の判断は一律ではなく、飛び降り自殺のように掲載の可否が難しいケースも少なくありません。
それでも大島氏は、「こうした出来事があった」という事実を記録し公開することを重視していると語りました。
本インタビューは全3回構成となっており、第1回では「購入されやすい事故物件の特徴」、第3回では「事故物件市場の変化」について取り上げています。
この記事の監修者

藤井亮 宅地建物取引士