
大島てる氏に聞く|大島てるに掲載された物件は削除できる?削除依頼の実態と掲載基準
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事故物件と聞くと、「買い手が見つからない」「相場より大幅に安くなる」といったイメージを持つ人も少なくありません。
実際のところ、事故物件は本当に売れないのでしょうか。
今回は、事故物件公示サイトで知られる大島てる氏にインタビューを実施し、事故物件の取引動向や購入する人の特徴について話を伺いました。

事故物件公示サイト「大島てる」の運営代表。
2005年に同サイトを開設し、日本を中心に世界の事故物件情報を公開している。
テレビや新聞、ウェブメディアなどでも事故物件に関する解説も行っている。

インタビュアー:
「大島てる」では、本当に多くの事故物件が掲載されていますよね。
事故物件は売れないというイメージがありますが、実際には売れるのでしょうか。

大島てる氏:
結論から言うと、事故物件は売れますね。
ただし、需要と供給の関係がありますから、売主は値下げを求められると思います。
どんなにひどい事件があった物件でも売れますよ。
これは賃貸物件の事例になりますが、神奈川県座間市の9人が殺害されたアパートでも借り手は見つかっています。
もともと家賃は月額22,000円でしたが、11,000円まで下げることで成約していました。
その後、アパート自体も売却されています。

※事故物件公示サイト「大島てる」に掲載されている神奈川県座間市周辺の情報。地図上には事故物件を示す炎のアイコンが各所に表示されている。

大島てる:
ですから、事故物件だから売れないというわけではありません。
価格とのバランス次第で取引は成立する、というのが実態ですね。

インタビュアー:
凄惨な事件があった物件でも売れるというのは、正直かなり意外です。
事故物件と聞くと、事件の規模に関係なく、住むことに抵抗を感じる方も多いと思います。
どのような人が事故物件を選ぶのでしょうか。

大島てる氏:
これまでさまざまな方と接してきましたが、事故物件を選ぶ人に共通する属性はあまりないように思います。
よく、「仕事柄、人の死に慣れている人なのではないか」「外国人や低所得者が多いのではないか」と言われます。
ただ、実際に見ているとそうした単純な話ではないんですよね。
性別や国籍、年齢、職業といった属性では説明できないのではないかと考えています。
不動産業界には昔から「隣地は倍出してでも買え」という格言があります。
隣の土地は相場の2倍出してでも買った方が良い、という意味ですね。
事故物件についても、これに近いことが言えると思います。
もちろん本当に2倍出すという話ではありませんが、更地や戸建て住宅の場合はこの考え方が当てはまるのではないかと考えています。
郊外の戸建ての事故物件を例にお話ししますね。
そのまま住むことには抵抗を感じる方もいるでしょう。
一方で、建物を解体して庭や駐車スペースにしたり、物置を置いたりするのであれば、心理的な抵抗も小さくなりますよね。
集合住宅でも、隣や上下の住戸を購入する人はいます。
マンション自体は気に入っていて、以前から手狭だったからとか、行き来しやすいからとか、そういった理由もあるのではないかと思います。

インタビュアー:
購入する人にもさまざまな目的があるのですね。
隣人が購入する以外にも、事故物件が活用される事例はあるのでしょうか。

大島てる氏:
ありますね。
都市部だと、郊外とはまた違った動きがあります。
例えば、再開発の対象になる場所であれば、事故物件を含めて周辺の土地をまとめて買い、大きな商業施設を建てることがあります。
そうすると、事故が起きた場所が敷地のどこだったのか分からなくなり、結果として過去の事件を気にする人も少なくなりますね。
また、事故物件の敷地を分割することで、事故があった場所が分かりづらくなることもあります。
東京23区など土地価格が高い地域では、大きな敷地を分割して複数の住宅を建てることが珍しくありません。
大きな戸建てで事件があった場合も、その後に敷地を分割して2棟や3棟の住宅が建てられることがあります。
中には、ご遺体があった場所を位置指定道路(注:建築基準法上の接道要件を満たすために設けられる私道)として利用することもありますね。
さらに、敷地を分割して複数の住戸を建て、そのうち1棟だけを事故物件として値引き販売する例もみられます。
1棟の住宅を事故物件として大幅に値引きして販売するよりも、全体としての売却価格は高くなりますからね。
ですから、事故物件は売れない不動産ではなく、価格と売り方次第で取引が成立すると言えます。
事故物件と聞くと、「売れない」「買い手がつかない」という印象を持つ方も多いかもしれません。
しかし、大島てる氏は、事故物件だから売れないのではなく、価格とのバランス次第で取引は成立すると話します。
購入する人に決まった属性はなく、隣地として買い取る、解体して土地として使う、再開発や敷地分割で活用するなど、さまざまな目的で取引されている実態も見えてきました。
今回のインタビューからは、「事故物件=売れない」という一般的なイメージと実際の市場にはギャップがあることがうかがえました。
本インタビューは全3回構成となっており、第2回では「大島てるの掲載基準と削除依頼の実態」、第3回では「事故物件市場の変化」について取り上げています。
この記事の監修者

藤井亮 宅地建物取引士