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築60年のマンションを売りたいと思っても、なかなか買い手が見つからないという声は少なくありません。
耐震性への不安や老朽化による資産価値の低下など、売却を難しくする要因が複数あります。
ただし、立地条件が良い物件や管理状態が整った物件は、一定の需要があります。
この記事では、築60年マンションが売れない原因を整理したうえで、状況に応じた売却方法と、売れない場合の代替手段まで解説します。
目次
築60年のマンションが売れない背景には、複数の要因が重なっています。
それぞれの理由を理解しておくことで、売却に向けた対策も立てやすくなります。
築60年のマンションの多くは、1981年5月以前の建築確認に基づいて建てられた旧耐震基準の建物です。
旧耐震基準は震度5強程度の揺れで倒壊しないことを目安に設計されており、震度6〜7の大規模地震でも倒壊しないことを求める現行の新耐震基準とは、耐震性能に大きな差があります。
買主にとって地震への不安は購入を躊躇する大きな要因となるため、旧耐震基準であることが売却を難しくする一因になっています。
旧耐震基準の物件は、多くの金融機関で住宅ローンの審査が厳しくなります。
フラット35も原則として新耐震基準を満たす建物が対象です。
さらに、鉄筋コンクリート造マンションの法定耐用年数は47年と定められています。
築60年となると法定耐用年数をすでに超えているため、建物の担保価値がほぼゼロと評価され、融資を断られるか、融資額を大幅に減額される可能性があります。
住宅ローンを利用できない場合、現金購入できる買主に限られるため、売れるまでに時間がかかるでしょう。
建物は築年数が経つほど外壁や配管、共用設備の劣化が進み、市場評価が下がります。
築60年では価格がすでに底値圏に近いため、売却価格に対する期待が高すぎると買い手との折り合いがつきにくくなります。
マンションの維持には、定期的な大規模修繕が欠かせません。
その財源となる修繕積立金が不足しているマンションでは、将来的に買主が高額な一時金の負担を求められる可能性があるため、購入を敬遠される要因になります。
また、共用部分の清掃が行き届いていない、管理組合が機能していないといった状態は、買主が管理上の問題を懸念する原因になります。
築年数が古いほどこうした課題が表面化しやすく、売却の障壁になります。
築60年のマンションは、当時のライフスタイルに合わせて設計されているため、現在の住まいに求められる水準と合わない点が出てきます。
具体的には、収納スペースの少なさ、洗面室と浴室が分かれていないワンルームのような水回りなどが挙げられます。
リフォームで対応できる部分もありますが、構造上の制約から変更が難しい箇所もあり、間取りそのものが敬遠される要因になることもあります。
築60年というだけで売却を諦める必要はありません。
条件次第では買い手がつく物件もあり、以下の特徴が当てはまるほど売却できる可能性が上がります。
立地は売却価格に大きく影響する要素です。
築60年のマンションは、都市開発の初期段階に駅周辺や利便性の高いエリアに建てられたものが多く、現在の新築マンションより好立地なこともあります。
駅徒歩圏内や再開発が進むエリアにある物件は、築年数が古くても一定の需要が見込めます。
管理組合が適切に機能し、長期修繕計画に沿って大規模修繕が実施されてきた物件は、築年数が古くても買主の安心感につながります。
共用部の清掃状況や修繕履歴は確認されるポイントであり、管理状態の良さは価格交渉でも有利に働きます。
築60年のマンションは価格が低い分、利回りが高くなりやすく、不動産投資を検討している買主の目に留まることがあります。
周辺に大学や企業、商業施設が集まり賃貸需要が見込めるエリアであれば、収益物件として売り出すことで買い手が見つかりやすくなります。
売却活動を始める前に、物件の状態や権利関係を把握しておくことが重要です。
後になって問題が発覚すると、トラブルになることもあります。
耐震基準の区別は、竣工日ではなく建築確認申請が受理された日付で判断します。
建築確認済証の日付が1981年6月1日以降であれば新耐震基準、それ以前であれば旧耐震基準に該当します。
築60年のマンションはほぼ旧耐震基準に該当しますが、念のため手元の建築確認済証で確認しましょう。
紛失している場合は、役所で建築確認台帳記載事項証明書を取得することで確認できます。
旧耐震基準と判明した場合は、買主への説明と価格設定の見直しが必要になります。
積立金が不足している場合、買主が将来的な一時金負担を懸念して購入を見送ることもあります。
管理組合または管理会社に問い合わせ、マンション全体の積立残高と長期修繕計画の内容を事前に把握しておきましょう。
なお、修繕積立金を滞納している場合、仲介業者を通じた売却では、その事実と滞納額を買主へ告知することが義務付けられています。
個人間売買でも、原則滞納の支払義務は買主に引き継がれるため、事前に説明しておくことでトラブルを避けられます。
マンションの大規模修繕計画や建替え計画は、買主の購入判断に影響する重要な情報です。
特に、大規模修繕工事の予定や修繕積立金の状況、建替え決議の有無などは、重要事項説明書や管理関係書類に記載されることがあります。
事前に管理組合へ確認し、計画の有無や実施時期を把握しておきましょう。
売却時には登記済権利証または登記識別情報通知書が必要です。
紛失している場合でも売却自体は可能ですが、司法書士による本人確認情報の作成など、追加手続きが必要になります。
また、相続で取得した物件で相続登記が未了の場合や、住所変更の登記が最新情報へ反映されていない場合は、売却前に整理しておく必要があります。
登記内容は、法務局またはオンラインで取得できる登記事項証明書で確認できます。
築60年のマンションは価値がないと思われることもありますが、実際の売却価格は立地や管理状態によって大きく異なります。
相場感を正しく把握したうえで査定に臨むことが、売却を成功させる第一歩です。
築60年のマンションの売却価格は、立地や管理状態、修繕履歴、建替え可能性などによって大きく異なります。
一般的には築年数が進むほど建物価値の割合は小さくなり、土地の持分価値や立地条件が価格へ与える影響が大きくなる傾向があります。
ここでは、国土交通省の2025年の「不動産情報ライブラリ」をもとに、東京都の築古マンションの取引価格例を紹介します。
| 所在地 | 取引価格 | 間取り | 面積 | 建築年 | 構造 |
|---|---|---|---|---|---|
| 杉並区 荻窪 | 7,500万円 | 2LDK | 60㎡ | 1954年 | RC |
| 港区 麻布十番 | 1億1,000万円 | 1LDK | 60㎡ | 1959年 | SRC |
| 文京区 関口 | 6,000万円 | 2LDK | 70㎡ | 1962年 | RC |
| 新宿区 新宿 | 1,500万円 | 1K | 35㎡ | 1963年 | RC |
| 渋谷区 南平台町 | 1億1,000万円 | 2LDK | 80㎡ | 1963年 | RC |
| 新宿区 新宿 | 950万円 | 2DK | 30㎡ | 1964年 | RC |
| 国分寺市 西町 | 510万円 | 3LDK | 60㎡ | 1965年 | RC |
| 渋谷区 渋谷 | 1億6,000万円 | 1LDK | 85㎡ | 1965年 | RC |
| 中野区 中野 | 5,500万円 | 2LDK | 50㎡ | 1966年 | SRC |
| 府中市 日鋼町 | 2,300万円 | 3LDK | 70㎡ | 1966年 | RC |
| 立川市 幸町 | 380万円 | 1LDK | 50㎡ | 1966年 | RC |
| 港区 六本木 | 1億2,000万円 | 2LDK | 65㎡ | 1968年 | SRC |
| 町田市 鶴川 | 450万円 | 3DK | 50㎡ | 1969年 | RC |
同じ築60年でも、駅近や都市部の物件と郊外の物件では価格に大きな差が出ます。
特に都心部や人気エリアでは土地の価値が高いため、建物が古くても一定の資産価値が維持されていることがあります。
一方、郊外や人口減少が進むエリアでは、買い手が見つかりにくく、価格も低くなる傾向があります。
旧耐震基準の物件は耐震性への不安に加え、住宅ローンを組みにくいという制約から買主が限られるため、新耐震基準の物件と比べて価格が下がりやすい傾向があります。
耐震診断を受け、耐震基準適合証明書を取得できれば耐震性への不安を払拭でき、価格の下落を抑えられる可能性があります。
長期修繕計画に沿った大規模修繕が実施されてきた物件は、同じ築年数でも高く評価される傾向があります。
共用部の清掃状況や設備の維持状態は内覧時に買主が確認するポイントでもあり、管理状態の良さは価格交渉でも有利に働きます。
築60年のマンションでも、売り方を選ぶことで手放せる可能性は十分あります。
物件の状態に応じた方法を選ぶことが重要です。
築60年のマンションが売れない原因の多くは、価格設定が市場の実態と合っていないことです。
長年住んだ物件への思い入れから強気な価格をつけてしまうと、買い手がつかないまま時間だけが経過します。
複数の不動産会社に査定を依頼し、現在の相場を把握したうえで価格を設定することが大切です。
また、値引き交渉を想定してやや高めに設定しておき、反響を見ながら調整していく方法もあります。
水回りや内装をリフォームしてから売り出すことで、買主の印象が大きく変わります。
築年数の古さからくる心理的なハードルを下げる効果があり、居住用として購入を検討している買主に訴求しやすくなります。
ただし、リフォーム費用が売却価格に反映されるとは限らないため、不動産会社などに費用対効果を相談したうえで判断しましょう。
仲介で売れない場合、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。
買取は現状のままでも売却できる点がメリットで、売却価格は仲介と比べて低くなる傾向がありますが、最短1ヶ月程度で現金化できるメリットがあります。
築60年のマンションは価格が低い分、利回りが高くなりやすいため、不動産投資を検討している買主の目に留まることがあります。
居住用として売れなかった物件をは、一度賃貸に出してから収益物件として売り出すことを検討しても良いでしょう。
仲介会社に依頼する際は、投資用物件の売買に強い会社を選ぶことで、適切な買主に届きやすくなります。
売却活動を続けても買い手が見つからない場合、売ること以外の選択肢を検討する必要があります。
賃貸運用から無償譲渡まで、状況に応じた手段を紹介します。
売却が難しい場合、賃貸に出して収益を得ながら保有を続ける方法があります。
立地条件が良ければ入居者が見つかる可能性があり、毎月の管理費や修繕積立金、固定資産税を賃料で賄えることもあります。
ただし、入居者の募集や管理には手間がかかるため、管理会社への委託も含めて検討が必要です。
空室が続くリスクもあるため、収支のシミュレーションをしたうえで判断しましょう。
リースバックとは、不動産会社に物件を売却したうえで、売却後もそのまま賃借人として住み続ける仕組みです。
まとまった現金を得ながら住み慣れた住まいを離れずに済むため、老後の資金確保などを目的に利用されることがあります。
一方で、買取価格が市場価格よりも低くなることが多く、通常の売却より手取りが少なくなります。
将来的に住み続けることを希望しても、契約条件によっては更新が認められない場合もあるため、契約内容を十分に確認することが必要です。
売れないマンションを相続した場合、相続放棄という選択肢があります。
ただし、相続放棄は相続開始を知った後3ヶ月以内に手続きをしなければならず、期限を過ぎると手続きができなくなります。
また、相続放棄をすると、そのマンションだけでなく預貯金や有価証券など他のプラスの財産も含め、すべての相続財産を引き継ぐ権利を失います。
プラスの財産が多い場合は、放棄によるデメリットが大きくなるため、司法書士や弁護士に相談したうえで慎重に判断することが必要です。
どうしても売れない場合、不動産会社や個人に無償で譲渡する方法があります。
譲渡によって所有権を手放せれば、以後の維持費の負担がなくなります。
ただし、無償譲渡を受け付けている不動産会社は限られており、物件の状態や立地によっては引き取り自体を断られることもあります。
まずは築古物件の取り扱い実績がある会社に相談することが現実的な第一歩です。
築60年のマンションが売れない背景には、住宅ローンの制約、老朽化による資産価値の低下など、複数の要因が重なっています。
ただし、立地や管理状態によっては買い手が見つかる可能性があり、売り方を工夫することで状況は変わります。
まずは現在の相場を把握したうえで価格を見直し、それでも売れない場合は買取や投資用物件としての売り出しも選択肢に入れてみてください。
賃貸運用やリースバックなど、売却以外の方法も状況に応じて検討する価値があります。
築60年のマンションをはじめ、物件の売却でお困りの方は、訳あり不動産相談所にご相談ください。
築古物件や再建築不可物件など、通常の市場では売却が難しい物件を積極的に買い取っており、北海道から沖縄まで全国の訳あり物件の買取に応じています。
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この記事の監修者

藤井亮 宅地建物取引士