
共有持分権とは?権利の内容やメリット・デメリット、売却の方法を解説!
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老朽化したアパートのオーナー様にとって、売却は重要な経営判断の一つです。
しかし、修繕費や空室率、税金計算など、多くの課題が伴います。
この記事では、老朽化アパートを売却した方が良い理由や、売却方法の比較、税金や手続き、そして高く売るための秘訣まで解説します。
最後までお読みいただくことで、最適な出口戦略が見つかるはずです。
目次
老朽化したアパートを所有し続けることには、リスクと負担が伴います。
なぜ売却を検討すべきなのか、その理由を理解することが、最適な判断への第一歩となります。
築年数が経過したアパートは、様々なリスクを抱えています。
最も大きな問題は修繕負担です。
老朽化していると、外壁や屋根の防水、給排水管の交換といった大規模修繕が必要となり、数百万円単位の突発的な出費が発生する可能性が高まります。
また、建物や設備の陳腐化は、空室率の上昇と収益悪化に直結します。
現代の入居者ニーズに合わない間取りや旧式の設備では競争力が低下し、家賃収入の減少要因となる可能性があります。
さらに、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた物件は耐震性への懸念から買い手がつきにくく、資産価値の低下を招きます。
老朽化アパートを売却することで、前述したような金銭的負担から解放されます。
将来発生するであろう大規模修繕費の心配がなくなり、空室や家賃滞納、入居者トラブルといった管理の煩わしさからも解放される点は大きなメリットです。
さらに、アパートを売却して得た資金を元手に、より収益性の高い不動産へ買い換えるほか、他の投資に回すといった資産の組み換えが可能になります。
また、相続対策として、分割しにくい不動産を現金化しておくことで、将来の相続トラブルを未然に防ぐ効果も期待できるでしょう。
老朽化物件の売却は簡単ではありません。
特に、法定耐用年数(木造で22年、鉄筋コンクリートで47年)を超過した物件は、金融機関の担保評価が低下するため、購入希望者がローンを組むことが難しくなります。
しかし、売却の可能性がゼロというわけではありません。
現金で購入できる投資家や、自社でリフォーム・再販するノウハウを持つ不動産会社といった買い手は存在します。
重要なのは、物件の状況に合った適切な売却方法を選択することです。
仲介での売却が難しい場合でも、不動産会社に直接買取を依頼することで、スピーディーに現金化できる可能性があります。
老朽化アパートの売却には、主に「仲介」と「買取」という2つの方法があります。
また、売却前にリフォームや解体を行うべきかどうかも重要な判断ポイントです。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に最適な方法を選びましょう。
不動産売却には、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう「買取」があります。
| 比較項目 | 買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格の6~8割程度 | 市場価格に近い |
| 売却スピード | 最短1ヶ月程度 | 3ヶ月~半年以上 |
| 仲介手数料 | 不要 | 必要 |
| 契約不適合責任 | 免責されることが多い | 売主が負う |
| 手間 | 少ない | 多い(内覧対応・価格交渉など) |
| 向いている人 | 早く現金化したい、手間をかけたくない、物件に問題がある | 少しでも高く売りたい、時間に余裕がある |
老朽化が著しい、入居者がいる、旧耐震基準であるなど、一般の買い手が見つかりにくい物件の場合、最短1ヶ月ほどで現金化できる買取がおすすめです。
売却価格を上げるためにリフォームや解体を検討するケースもありますが、費用対効果を見極める必要があります。
過剰なリフォーム費用は、売却価格に上乗せして回収することが難しい可能性があります。
行うとしても、入居率に直結する水回りや内装など、必要最低限に留めることが賢明です。
一方、建物の劣化が激しく価値がほとんどない場合は、解体して更地として売却する選択肢もあります。
ただし、解体費用がかかる上に、更地にすると住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税等の負担が増加するというデメリットがあるため注意が必要です。
アパートの売却は、準備から引渡しまで複数のステップを踏んで進められます。
全体像を把握し、計画的に進めることが成功の鍵です。
まずは、所有するアパートがいくらで売れるのか相場を把握することから始めます。
周辺の売買事例を調べるとともに、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
1社だけの査定では、その価格が適正かどうか判断できません。
査定額だけでなく、その根拠や担当者の対応などを比較検討し、信頼できる会社を見極めることが重要です。
仲介で売却する場合、不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。
契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
| 項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 契約できる不動産会社数 | 複数可 | 1社のみ | 1社のみ |
| 自分で買主を見つけた場合 | 仲介なしで売却可能 | 仲介なしで売却可能 | 不動産会社の仲介が必要 |
| 不動産流通機構の登録義務 | 任意 | 契約から7日営業日以内に登録 | 契約から5日営業日以内に登録 |
| 売主への業務報告義務 | なし(任意) | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 契約の有効期間 | 制限なし(慣例は3ヶ月) | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 |
契約後、不動産会社はポータルサイトへの掲載や営業活動を開始し、購入希望者を募ります。
仲介の場合は購入希望者、買取の場合は不動産会社と、売却価格や引き渡し時期などの条件について話し合いを進めます。
そして、双方が合意に至れば、売買契約を締結します。
契約時には、宅地建物取引士から物件に関する重要事項説明を受け、内容を十分に理解した上で署名・捺印します。
この際、買主から手付金として売買代金の一部を受領します。
売買契約は法的な拘束力を持つため、安易な解除はできません。
契約で定めた引渡し日に、残代金の決済と物件の引渡しを行います。
買主からの残代金の着金を確認後、所有権移転登記を申請します。
ローンが残っている場合は、この資金で完済し、抵当権抹消登記も行います。
最後に、物件の鍵や関連書類を買主に渡して、すべての手続きが完了です。
アパートの売却には、税金や諸費用がかかります。
手元に残る金額を正確に把握するために、これらのコストについて正しく理解しておくことが重要です。
アパートを売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。
譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額
※取得費:購入時の代金や諸費用から、建物部分の減価償却費を差し引いた金額
※譲渡費用:売却にかかった仲介手数料や印紙税、立ち退き料などの費用
算出された譲渡所得に、所有期間に応じた税率を掛けて税額を計算します。
| 区分 | 所有期間 | 合計税率 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
このように、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わるため、売却タイミングの検討は非常に重要です。
売却時には税金の他に、以下のような諸費用が発生します。
アパートを売却して利益が出た場合は、原則として売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、確定申告を行う必要があります。
申告を忘れると、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されるため注意しましょう。
節税対策としては、前述の通り所有期間が5年を超えてから売却することや、取得費や譲渡費用に関わる領収書などを漏れなく保管し、正確に経費計上することが基本となります。
老朽化アパートの売却では、特有の法的な問題に注意する必要があります。
事前にリスクを理解し、適切な対策を講じることがトラブル回避につながります。
契約不適合責任とは、売却した物件が契約内容と一致していない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
たとえば、契約時に説明されていなかった雨漏りや給排水設備の不具合が後から判明した場合などが該当します。
特に老朽化したアパートでは、外からは分かりにくい不具合が潜んでいることもあるため、事前に専門家による建物診断を行い、物件の状態を把握したうえで買主に伝えることが重要です。
なお、不動産会社に直接売却する場合、契約不適合責任が免除される契約が一般的であり、売主にとっては安心材料となります。
入居者がいる状態で売却する場合、一般的には「オーナーチェンジ物件」として、賃貸借契約を買主がそのまま引き継ぎます。
この場合、入居者に立ち退いてもらう必要はありません。
もし買主が空室での引渡しを希望する場合、入居者に立ち退きを交渉することになります。
しかし、借地借家法により入居者の権利は強く保護されており、オーナー側の都合だけで退去を強制することはできません。
立ち退きには正当事由が必要となり、通常は家賃の6ヶ月~1年分程度の立ち退き料の支払いが必要になります。
交渉は難航することが多いため、不動産会社や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
少しでも有利な条件で売却するためには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、老朽化アパートを高く売るための方法をご紹介します。
最も基本的かつ重要なのは、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することです。
1社の査定額を鵜呑みにせず、各社の査定額の根拠や販売戦略、担当者の専門性などを多角的に評価しましょう。
特に、投資用不動産や老朽化物件の売買実績が豊富な会社を選ぶことが、適正価格での売却につながります。
アパートの売却では、物件の収益性や入居状況も価格に影響します。
空室が多い状態や修繕が必要な場合は評価が下がりやすいため、可能であれば入居率の改善や最低限の修繕を行ってから売却を検討することも一つの方法です。
また、税制面では、所有期間が5年を超えると譲渡所得税の税率が下がるため、税負担を抑えることができます。
このように、物件の状態や税制面も踏まえて、売却時期を見極めることが重要です。
老朽化していても、物件の魅力を最大限にアピールすれば、高値で売却できる可能性があります。
例えば、駅からの距離や周辺施設の利便性といった立地の良さは大きな強みになります。
また、過去の修繕履歴や現在の管理状況を整理し、きちんとメンテナンスされてきたことを示すと、買主に安心感を与えることができます。
さらに、レントロール(家賃明細表)を正確に作成し、安定した収益性をアピールすることも重要です。
相続によって取得したアパートを売却する場合には、税負担を軽減できる特例が用意されています。
適用条件を正しく理解し、最大限に活用しましょう。
複数人で相続した不動産を売却する場合は、まず相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が不動産を相続するのかを決めたうえで、相続登記を進める流れが一般的です。
なお、不動産全体を売却する場合は共有者全員の同意が必要となるため、スムーズに売却するためには、早い段階で相続人全員の合意を得ておくことが重要です。
ただし、自身の共有持分のみであれば単独で売却することが可能です。
相続したアパートの売却では「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を適用できる場合があります。
これは、相続や遺贈により財産を取得して、相続税が課税されている人が、相続開始から3年10ヶ月以内にその不動産を売却した場合、支払った相続税の一部を譲渡所得の計算上の取得費に加算できる制度です。
取得費が増えることで課税対象となる譲渡所得を抑えられるため、譲渡所得税を節税できます。
上記の特例を活用するためには、期限内に売却を完了させる必要があります。
不動産の売却には通常数ヶ月を要するため、特例の適用を考えている場合は、相続後すぐに売却活動を開始することが得策です。
また、特例の適用には確定申告が必要であり、計算も複雑になるため、税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
ここでは、老朽化アパートの売却に関するよくある質問をご紹介します。
はい、その傾向は強いです。
金融機関は建物の法定耐用年数を融資期間の目安とすることが多いため、築年数が古い、特に法定耐用年数を超過した物件は融資がつきにくくなります。
そのため、買主は現金購入できる投資家や、活用ノウハウを持つ不動産会社などに限定されやすくなります。
地方の老朽化アパートでも、売却自体は可能です。
ただし、都市部に比べて需要が限られるため、仲介での売却は時間がかかることがあります。
こうした場合は、仲介ではなく、不動産会社による直接買取がおすすめです。
売却価格は仲介の約7〜8割になりますが、条件がまとまりやすく、最短1ヶ月程度で売却できる点がメリットです。
入居者がいる状態でも売却は可能です。
このような売却は「オーナーチェンジ」と呼ばれ、賃貸物件の売買では一般的です。
買主は、家賃収入を得る権利と共に、貸主としての権利や義務(敷金の返還など)も引き継ぐことになります。
なお、売却を理由に入居者を一方的に退去させることはできません。
退去には正当な理由や入居者の同意が必要となるため、注意が必要です。
老朽化したアパートを売却することで、修繕費や空室リスクといった負担を軽減し、資産の見直しを図ることができます。
しかし、そのプロセスには売却方法の選択、税金計算、契約不適合責任といった法的リスクなど、専門的な知識が必要な場面もあります。
特に、売却が難しい物件や早めに現金化したい場合は、不動産会社への売却も選択肢の一つです。
この記事で紹介したポイントを踏まえつつ、まずは信頼できる不動産会社に相談し、ご自身の状況に合った進め方を検討することが大切です。
訳あり不動産相談所では、老朽化アパートに関するご相談も承っておりますので、お困りの方はぜひご連絡ください。
この記事の監修者

藤井亮 宅地建物取引士