
空家の行政代執行の流れは? 手続きや解体費用について徹底解説!
詳しく見る

空き家を所有する方の中には、敷地内に設置された浄化槽の扱いに頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。
実は、空き家であっても浄化槽の管理は法律で義務付けられており、放置すると罰則の対象となるだけでなく、悪臭や害虫の発生、資産価値の低下といったリスクを招きます。
この記事では、空き家の浄化槽に課せられる管理義務の内容から、年間の維持費用相場、長期間使用しない場合の「休止届」制度まで解説します。
この記事を読めば、浄化槽の最適な管理方法が明確になるでしょう。
目次

ここでは、浄化槽とその管理義務、放置した場合のリスクを解説します。
浄化槽とは、下水道が整備されていない地域で、家庭から出るトイレの排水や生活雑排水を微生物の働きを利用して浄化し、きれいな水にしてから河川などに放流するための設備です。
浄化槽には大きく分けて2つの種類があります。
| 種類 | 処理できる排水 | 特徴 |
|---|---|---|
| 単独処理浄化槽 | トイレの排水のみ | 生活雑排水は処理されず、そのまま放流されるため環境負荷が大きい。 現在は、原則新規設置が禁止されている。 |
| 合併処理浄化槽 | トイレの排水+生活雑排水 | すべての生活排水を処理できるため、環境に優しい。 現在、新たに設置されるのはこちらのタイプ。 |
ご自身の空き家の浄化槽がどちらのタイプか把握しておくことは、今後の管理や売却を検討する上で重要です。
浄化槽の所有者には、浄化槽法という法律に基づき、使用状況にかかわらず以下の管理義務が課せられています。
これらの義務は、空き家でも免除されませんので注意しましょう。
浄化槽の管理を怠り、法令に違反した場合には罰則の対象になる可能性があります。
例えば、保守点検や清掃が適切に行われていない状態で、都道府県知事から改善命令や使用停止の命令を受けたにもかかわらず従わなかった場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
また、行政から保守点検や清掃に関する報告を求められた際に、報告をしない、または虚偽の報告を行った場合には、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
ここでは、管理義務の具体的な内容や、費用相場などを解説します。
浄化槽法で定められた管理義務について、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
これらの管理は専門的な知識と技術が必要なため、資格を持つ専門業者に委託するのが一般的です。
| 管理項目 | 内容 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 保守点検 | 機器の動作確認、水質検査、消毒剤の補充、悪臭や害虫のチェックなど | 年3~4回程度 |
| 清掃 | 浄化槽内に溜まった汚泥やスカムの引き抜き、内部洗浄 | 年1回以上 |
| 法定検査 | 浄化槽の設置や管理が適正か、外観検査や水質検査を実施 | 年1回 |
保守点検記録票や清掃記録票は3年間の保管義務があるため、業者から受け取った書類は大切に保管しておきましょう。
空き家でも浄化槽を維持するには、年間で数万円程度の費用がかかります。
費用の内訳と相場の目安を以下にまとめました。
| 費用項目 | 費用相場(年間) |
|---|---|
| 保守点検費用 | 9,000円 ~ 40,000円 |
| 清掃費用 | 10,000円 ~ 50,000円 |
| 法定検査費用 | 5,000円 ~ 10,000円 |
| 電気代 | 3,000円 ~ 10,000円 |
所有者が遠方に住んでいて、自身での管理が難しい場合は、空き家管理サービスを提供している業者や、浄化槽の保守点検業者に管理を委託するという方法があります。
業者に委託すれば、定期的な点検や清掃の手配、緊急時の対応などを任せることができ、安心です。
ただし、管理委託費用が発生するため、年間の維持費はさらに高くなります。
管理の手間とコストを比較検討し、最適な方法を選択しましょう。
長期間誰も住む予定がない場合は、浄化槽使用休止届を出して管理負担を軽減できる可能性があります。
おおむね1年以上浄化槽を使用しない場合は「浄化槽使用休止届」を自治体へ届け出ることで、休止期間中の保守点検、清掃、法定検査の義務が免除されます。
最大のメリットは、年間数万円の維持管理費用を削減できる点です。
一方で、デメリットもあります。
休止届を提出する場合、事前に清掃や消毒剤の撤去などが必要です。
さらに、浄化槽の使用を再開する際は清掃・保守点検・法定検査も行う必要があるため、それらの費用がかかります。
浄化槽の使用を休止するには、以下の準備を行ってから休止届を提出する必要があります。
この最終清掃を実施したことを証明する記録が、休止届の提出時に必要となります。
準備が整ったら、自治体の担当窓口に「浄化槽使用休止届出書」を提出します。
手続きの一般的な流れは以下の通りです。
休止届を提出し、管理義務が免除された後も、完全に放置して良いわけではありません。
休止中も、大雨の後にフタがずれていないか、槽本体に破損がないかなど、定期的に目視で状態を確認しましょう。
フタの破損などから雨水が流入すると、浄化槽の故障や再開時のトラブルにつながる可能性があります。
浄化槽の使用を再開する場合は、「浄化槽使用再開届出書」を自治体に提出する必要があります。
再開にあたって、まず保守点検業者に依頼し、ブロワーやポンプが正常に作動するか、配管に問題はないかなどの事前点検を受け、消毒剤の補充などを行いましょう。
再開届は、使用再開の日から30日以内に提出する必要があるため、注意しましょう。
ここでは、浄化槽に関する補助金について紹介します。
単独処理浄化槽から環境性能の高い合併処理浄化槽への転換を促進するため、多くの自治体で補助金制度が設けられています。
補助金の対象となるのは、主に以下のような工事です。
空き家であっても、今後使用を再開する場合などに、この補助金制度を活用できる可能性があります。
ここでは、浄化槽に関する補助金制度を実施している主な自治体を紹介します。
このほかにも、多くの自治体で補助金制度が用意されています。
制度の内容や条件は地域ごとに異なるため、最新情報はお住まいの自治体の公式サイトで確認してください。
補助金を活用する上で、最も重要な注意点は「必ず工事の着工前に申請し、交付決定通知を受け取ること」です。
一般的に、工事を始めてから申請しても、補助金は受けられません。
また、補助金には年度ごとに予算枠が定められており、先着順で受付が終了してしまうことが多いため、早めの準備がポイントです。
申請には多くの書類が必要となるため、施工を依頼する専門業者とよく相談しながら進めましょう。

ここでは、空き家における浄化槽のトラブル事例と、その解決策をご紹介します。
空き家の浄化槽トラブルで最も多いのは悪臭です。
主な原因は、ブロワーの停止による浄化槽内の微生物の死滅です。
ブロワーの電源が切れると、汚水を分解する好気性微生物が酸欠で死んでしまい、汚泥が腐敗することで悪臭が発生します。
対策としては、空き家であってもブロワーの電源は切らないことが基本です。
もし悪臭が発生してしまった場合は、浄化槽の清掃や、シーディング剤の投入が必要です。
処理しきれない泥水や異物を含む排水を繰り返し流すほか、想定を超える排水量で使用すると、過度な負荷がかかり、ポンプが正常に作動しなくなることがあります。
また、清掃を怠って汚泥が溜まりすぎると、処理能力を超えて汚水が溢れることもあります。
これらのトラブルは、専門家による点検や修理で高額な費用がかかる場合も少なくありません。
日頃から定期的な清掃や点検を行うことで、異常を早期発見できます。
使用休止届を出していた浄化槽を再開する際にも注意が必要です。
長期間水が入っていない状態が続くことや、雨水の流入によって、槽本体が破損する可能性があります。
また、微生物がいない状態から再開するため、浄化機能が安定するまでに時間がかかることがあります。
その間は、一時的に臭いが発生するほか、水質が基準を満たさないこともあります。
再開前には専門業者の点検を受け、適切な手順を踏むことが重要です。
浄化槽の管理でお困りの方は、空き家自体を売却することも検討してみてはいかがでしょうか。
浄化槽の維持管理が負担となっている場合は、空き家の売却も選択肢のひとつです。
ただし、浄化槽付きの物件を売却する際には、買主とのトラブルを避けるため、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
まず、空き家を売却すると、浄化槽の維持管理義務は買主へ引き継がれます。
そのため、浄化槽の種類やこれまでの管理状況、不具合の有無など、重要な情報は契約前に正確に伝えることが大切です。
また、所有者が変更された場合は、30日以内に「浄化槽管理者変更報告書」を提出する必要があります。
さらに、浄化槽の状態は売却価格にも影響する可能性があります。
適切に管理された合併処理浄化槽であれば大きなマイナスにはなりにくい一方、老朽化した単独処理浄化槽や不具合がある場合には、改修や撤去にかかる費用が価格に反映されることがあります。
このように、浄化槽に関する情報や状態は売却の成否に直結するため、事前に整理しましょう。
浄化槽や空き家そのものの状態が気になり、売却に迷っている場合は、不動産会社に空き家を買い取ってもらう方法がおすすめです。
買取の場合は、不動産会社が買主となるため、浄化槽が老朽化して不具合がある場合も、現状のまま売却できる可能性があります。
売却後の契約不適合責任も免責されることが多く、最短1ヶ月程度で現金化できるというメリットがあります。
管理の負担から一刻も早く解放されたい方は、ぜひ検討してみてください。
浄化槽付きの空き家は、売却以外にも様々な活用方法があります。
例えば、リフォームして賃貸に出す、更地にして駐車場として活用するといった方法があります。
ただし、いずれの場合も、一般的にはリフォームや解体などで初期投資がかかります。
将来的な収益性と初期費用、そして管理の手間を総合的に判断し、ご自身にとって最適な方法を検討することが大切です。
ここでは、空き家の浄化槽に関するよくある質問にお答えします。
浄化槽のブロワーは24時間365日稼働させる必要がありますが、その電気代は月額で300円~800円程度です。
年間でも3,000円 ~ 10,000円程度であり、悪臭発生や機器故障のリスクを考えれば、電源は切らずに稼働させておく方が賢明です。
浄化槽本体の耐用年数は20年~30年程度とされていますが、使用環境や管理状況によってはそれより早く劣化することもあります。
また、ブロワーや排水ポンプなどの機器は5〜10年程度で交換が必要となるケースが多く、定期的なメンテナンスが欠かせません。
空き家の浄化槽は、たとえ使用していなくても法律で管理が義務付けられており、年間で数万円程度の維持費用がかかります。
管理を怠ると、悪臭や浄化槽の故障に繋がるだけでなく、罰則の対象になる可能性もあります。
おおむね1年以上使用しない場合は、「浄化槽使用休止届」の活用がおすすめですが、将来的にその空き家を利用する予定がないのであれば、空き家ごと不動産会社に売却することも選択肢のひとつです。
訳あり不動産相談所では、浄化槽付きの空き家も積極的に買い取っておりますので、お困りの方はぜひご相談ください。
この記事の監修者

藤井亮 宅地建物取引士