
不動産の相続放棄とは?手続き方法と注意点を徹底解説
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核家族化や少子高齢化が進む現代日本において、「実家じまい」は多くの人が直面する避けられない課題です。
しかし、何から手をつければいいのか、費用はどれくらいかかるのか、家族と揉めずに進めるにはどうすればいいのか、不安は尽きません。
この記事では、後悔しない実家じまいを実現できるよう、費用から具体的な手順、法務・税務の注意点まで解説します。
この記事を読めば、実家じまいの全体像を掴み、計画的かつ円滑に進めるための道筋が見えてくるはずです。
目次
実家じまいを成功させるためには、まずその全体像を正しく理解することが不可欠です。
言葉の定義から具体的な流れ、そして放置した場合のリスクまで、始める前に知っておくべき基礎知識を解説します。
実家じまいとは、親が住んでいた家を、その後の生活スタイルの変化(施設への入居、子世帯との同居、逝去など)に合わせて、家財整理から不動産の処分・活用まで含めて片付けることを指します。
重要なのは、単なる「モノの片付け」だけでなく、不動産という大きな資産の今後を決めるプロセスを含む点です。
生前整理は親が存命のうちに身の回りを整理すること、遺品整理は亡くなった後に遺品を整理することであり、これらは実家じまいのプロセスの一部に含まれます。
実家じまいは、これらの整理作業に加え、不動産の売却や解体、賃貸といった法務・税務が絡む手続きまでを網羅する、より広範な概念です。
| 項目 | 実家じまい | 生前整理 | 遺品整理 |
|---|---|---|---|
| タイミング | 親の生活変化時(存命中・逝去後) | 親が元気なうち | 親の逝去後 |
| 目的 | 家屋全体の整理と不動産の処分・活用 | 身の回りの整理、終活の一環 | 故人の遺品の整理・供養 |
| 範囲 | 家財整理、不動産処分、契約整理など全て | 主に家財や財産の整理 | 主に遺品の整理 |
実家じまいは感情的にも物理的にも大きな負担を伴うため、計画的な進行が重要です。
多くの場合、以下の5つのステップで進められます。
「実家じまいの8割は最初の話し合いで決まる」と言われるほど、家族間の合意形成が成功の鍵を握ります。
「とりあえずそのままに」という選択は、将来的に大きなリスクを伴います。
空き家を放置すると、建物の老朽化による資産価値の低下はもちろん、庭の雑草や害虫発生で近隣トラブルの原因にもなりかねません。
また、固定資産税も大きな負担となります。
通常、住宅が建つ土地には税負担を軽減する「住宅用地の特例」が適用されます。
しかし、管理が不十分で倒壊の危険などがあると自治体から「特定空家」や「管理不全空家」に指定され、この特例が解除されることがあります。
その結果、土地の固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があり、実家が「負動産」と化してしまうのです。
実家じまいにおいて最も時間と労力がかかるのが「片付け」です。
長年蓄積されたモノと思い出に、どう向き合えばよいのでしょうか。
ここでは、挫折しないための具体的な手順とコツを解説します。
やみくもに手を付けると、途方に暮れてしまいます。
まずは小さなエリアから始め、成功体験を積み重ねることが大切です。
アルバムや手紙、親の手作りの品など、思い出が詰まった品々は簡単には処分できません。
無理に捨てようとせず、心の整理を優先しましょう。
写真や手紙はスキャナーやスマホでデジタル化すれば、物理的なスペースを取らずに大切な記憶を残せます。
かさばる作品や記念品も、写真に撮ってから手放すことで、気持ちの整理がつきやすくなります。
また、すぐに判断できないものは「思い出ボックス」にまとめて一時保管し、気持ちが落ち着いてから改めて向き合う時間を作るのも有効です。
このプロセスは、家族で思い出を語り合う貴重な機会にもなります。
不用品の処分方法は多岐にわたります。
それぞれの特徴を理解し、モノの状態や量、かけられる時間や費用に応じて最適な方法を選びましょう。
| 処分方法 | メリット | デメリット | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 不用品回収業者 | ・分別不要で一括回収 ・大型家具もOK | ・費用が比較的高額 ・悪質な業者に注意 | 軽トラ1台分:1.5万〜4万円 |
| 自治体のゴミ回収 | ・費用が最も安い | ・分別や搬出の手間がかかる ・収集日に制限 | 粗大ゴミ1点:数百円〜数千円 |
| 買取サービス | ・処分費用がかからず、収入になる可能性あり | ・値段がつかないものも多い ・査定依頼に手間がかかる | 0円(収入になる場合も) |
| 寄付 | ・社会貢献につながる | ・送料が自己負担の場合がある ・寄付できる品目に制限 | 0円〜(送料など) |
| フリマアプリ | ・自分の希望価格で売れる可能性あり | ・出品・梱包・発送の手間がかかる ・個人間でトラブルの可能性あり | 0円(手数料・送料がかかる場合も) |
実家が、いわゆる「ゴミ屋敷」状態になっている場合、自力での片付けは衛生面や安全面により困難です。
このような場合は、無理せず専門の片付け業者や遺品整理業者に依頼するのが賢明です。
業者を選ぶ際は、必ず3社以上から相見積もりを取りましょう。
料金だけでなく、作業範囲、追加料金の有無、損害賠償保険への加入状況などを確認することが重要です。
また、一般家庭の廃棄物を回収するには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
この許可を持たない業者は違法な場合があるため、必ず事前に確認しましょう。
特殊清掃や害虫駆除が必要な場合は、それに対応できる専門知識と技術を持った業者を選んでください。
なお、実家の売却を考えている場合は、ゴミが残ったままの状態でも買い取りに対応してくれる不動産会社があります。
無理に片付ける前に、まずは不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。
実家じまいは、目に見えるモノの片付けだけではありません。
電気・ガスなどの契約解除から、SNSアカウントなどのデジタル遺品、そして相続や税金といった専門的な手続きまで、多岐にわたる整理が必要です。
親がどのようなサービスを契約しているか、通帳の引き落とし履歴や郵便物からリストアップし、不要なものは速やかに解約手続きを進めましょう。
特に、電気、ガス、水道、固定電話、NHKなどのライフラインは、解約のタイミングが重要です。
また、新聞、健康食品の定期便、有料テレビ、月額課金のサブスクリプションサービスなどは見落としがちなので注意しましょう。
解約には契約者本人でないと手続きが難しい場合もあるため、親が元気なうちに一緒に確認しておくのが理想です。
現代では、スマートフォンやパソコンの中に多くの「デジタル遺産」が残されています。
SNSアカウント、ネット銀行の口座、オンライン証券、各種ポイント、電子マネーなどがこれにあたります。
これらはIDやパスワードが分からないと存在すら把握できず、放置すれば不正利用のリスクや、資産が見つけられないといった問題につながります。
親が存命のうちに、アカウント情報やパスワードを一覧にしてエンディングノートなどに記してもらうことが重要です。
実家じまいは相続と密接に関わります。
遺言書がない場合、相続人全員での遺産分割協議が必要となり、ここでトラブルが発生しがちです。
また、2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
これらの複雑な法的手続きは、司法書士などの専門家に相談するのが安全かつ確実です。
なお、親が存命でも認知症などで判断能力が低下している場合は、「成年後見制度」の利用も視野に入れる必要があります。
実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は税金がかかりますが、特例制度もあります。
それが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。
一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
ただし、適用要件が複雑で、「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する」といった期限もあります。
最適な税金対策を講じるために、税理士にも相談してみましょう。
片付けが終わった実家をどうするかは、実家じまいにおける最大の決断です。
ここでは、主な選択肢とそれぞれの手続き、関連する税金について解説します。
実家の今後には、主に以下の選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、家族の状況や実家の状態に合った最適な方法を検討しましょう。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 自分が住む | ・思い出の家を守れる ・住居費を抑えられる | ・維持管理費や固定資産税の負担 ・リフォーム費用 |
| 売却 | ・まとまった現金が手に入る ・維持管理の負担がなくなる | ・思い出の家を手放すことになる ・希望価格で売れない可能性 |
| 賃貸 | ・家賃収入が得られる ・家を手放さずに済む | ・空室リスクや管理の手間がかかる ・入居者トラブルの可能性 |
| 解体 | ・更地になり売却しやすくなる ・倒壊リスクがなくなる | ・解体費用が高額 ・固定資産税が最大6倍になる可能性 |
| 空き家バンク | ・自治体が買主・借主探しを支援してくれる | ・登録してもすぐにマッチングするとは限らない |
どの選択肢を選ぶかによって、必要な手続きや書類は異なります。
売却する場合は、不動産会社に相談して買主を探してもらうか、不動産会社に直接買い取ってもらいます。
必要書類には、登記済権利証(または登記識別情報)、固定資産評価証明書、実印、印鑑証明書などがあります。
解体する場合は、解体業者に見積もりを依頼し、金額に納得できたら契約します。
80㎡(約25坪)以上の建物を解体する場合は、工事前に解体工事届け出が必要なほか、自治体によっては近隣説明会を開く必要があるため、事前に確認しましょう。
工事後には建物滅失登記申請も忘れず行いましょう。
賃貸として活用する場合は、不動産管理会社に相談して賃料相場や物件の状態を確認します。
必要に応じてリフォームを行ったうえで、入居者募集の広告を出し、入居希望者の審査を進めます。
入居が決まったら賃貸借契約書を締結しましょう。
入居中のトラブル対応や家賃の集金は、管理会社に代行してもらうことが一般的です。
賃貸経営として安定させるには、管理体制や修繕計画を事前に整えておくことが重要になります。
実家じまいでは、様々な税金が関わってきます。
固定資産税・都市計画税は、不動産を所有している限り毎年課税されます。
前述の通り、空き家を放置したり、解体して更地にしたりすると税額が上がることがあります。
譲渡所得税は、不動産を売却して利益が出た場合に課税されます。
相続した物件で使える「3,000万円特別控除」などの特例をうまく活用することが重要です。
相続税は、遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に課税されます。
「小規模宅地等の特例」などを適用できれば、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
実家じまいには、一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここでは、主な費用の内訳と相場を具体的に見ていきましょう。
家財の量や処分方法によって大きく変動しますが、専門業者に依頼する場合、間取りごとの費用相場は以下の通りです。
自分で片付ける場合は、自治体の粗大ゴミ処理手数料や運搬用のレンタカー代などで数万円程度に抑えることも可能です。
| 間取り | 費用相場 |
|---|---|
| 1R・1K | 3万円~8万円 |
| 1LDK | 5万円~12万円 |
| 2LDK | 8万円~20万円 |
| 3LDK以上 | 15万円~ |
実家を売却する際には、主に印紙税や譲渡所得税、登記費用などの諸費用がかかります。
また、仲介で売却する場合、不動産会社への仲介手数料も必要です。
仲介手数料は法律で上限が定められており、売却価格が800万円超の場合は、「売却価格の3% + 6万円 + 消費税」が一般的な計算式です。
例えば、2,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限は72.6万円となります。
建物を解体する場合の費用は、構造や立地条件によって大きく異なります。
重機が入れない場所やアスベストが含まれている場合は、追加費用が発生します。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合の費用相場 |
|---|---|---|
| 木造 | 3万円~5万円 | 90万円~150万円 |
| 鉄骨造 | 5万円~8万円 | 150万円~240万円 |
| RC造 | 6万円~10万円 | 180万円~300万円 |
実家じまいが親の施設入居や子世帯との同居をきっかけとする場合、引っ越し費用も発生します。
子世帯との同居の場合、費用は10〜20万円程度が目安ですが、距離や荷物量、繁忙期かどうかで変動します。
また、老人ホームなどへの入居には、入居一時金や月額利用料が別途必要になります。
高額になりがちな実家じまいの費用ですが、ここでは負担を少しでも軽くするための節約術をご紹介します。
実家じまいの費用を安く抑えるためのコツを以下にまとめました。
自治体によっては、空き家対策の一環として、解体やリフォームに関する補助金・助成金制度を設けている場合があります。
老朽化した空き家の解体費用に対しては、費用の1/5~2/3程度、上限額にして30万円~100万円程度の補助が受けられるケースが一般的です。
ただし、「旧耐震基準の建物であること」「所有者の所得制限」など、利用には様々な条件があります。
まずは実家のある市区町村のウェブサイトを確認したり、「空き家対策担当」などの窓口に問い合わせてみましょう。
実家じまいは、一人で抱え込める問題ではありません。
家族間の円滑なコミュニケーションと協力体制がトラブルを防ぎ、精神的な負担を乗り越えるための鍵となります。
親が元気なうちに実家じまいについて話すのは、非常にデリケートな問題です。
「家を追い出される」と感じさせてしまっては、関係が悪化しかねません。
まずは「親の今後の生活を心配している」という気持ちを伝え、「将来のために一緒に考えていきたい」という姿勢で臨むことが大切です。
「終活」や「生前整理」といった言葉を使い、親自身の意思を尊重しながら、少しずつ話し合いを進めていきましょう。
兄弟姉妹間では、実家に対する思い入れや経済状況の違いから、意見が対立しがちです。
トラブルを避けるためには、全員が参加する家族会議を定期的に開き、情報を共有することが不可欠です。
誰が費用をいくら負担するのか、誰が中心になって動くのか、役割分担を明確にしましょう。
話し合った内容は、後で「言った・言わない」とならないよう、議事録として書面に残しておくことをお勧めします。
親が「まだ大丈夫」「物は捨てられない」と実家じまいを拒否することもあります。
その気持ちを頭ごなしに否定せず、まずはなぜ拒否するのか、その理由に耳を傾けましょう。
思い出が詰まった家や物を手放すことへの寂しさや不安が背景にあることが多いです。
無理強いはせず、第三者(ケアマネージャーや親戚など)に間に入ってもらったり、まずは小さな片付けから始めて成功体験を共有したりと、時間をかけて根気強く向き合う姿勢が求められます。
親が認知症の場合、法的な問題が絡むため、より慎重な対応が必要です。
認知症などにより判断能力が不十分とみなされると、不動産の売買契約などの法律行為が無効になってしまいます。
このような場合、家庭裁判所に申し立てを行い、親の財産管理や契約行為を代理で行う「成年後見人」を選任する必要があります。
手続きには時間がかかるため、認知症の兆候が見られたら、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。
ここでは、実家じまいに関するよくある質問にお答えします。
家の規模や物の量、家族の協力体制、不動産の処分方法によって大きく異なりますが、片付けだけで数ヶ月、不動産の売却まで含めると半年から1年以上かかることも珍しくありません。
焦らず、長期的な視点で計画を立てることが大切です。
遠方の場合は、帰省のタイミングで集中的に作業できるよう、事前に計画を立てることが重要です。
片付け代行業者や遺品整理業者、空き家管理サービスなどをうまく活用し、専門家の力を借りることで、移動の負担や時間を大幅に削減できます。
賃貸物件でも実家じまいは必要です。
賃貸物件の場合、親が亡くなったり施設に入居したりした後は、原状回復して部屋を明け渡す義務があります。
家財道具の処分や清掃を行い、公共料金などの契約を解除する手続きは、持ち家の場合と同様に行う必要があります。
全てを業者に任せる「丸投げ」も可能ですが、後悔しないために貴重品や思い出の品の仕分けだけは自分たちで行うことをお勧めします。
その後、不用品の搬出や処分、清掃などを業者に依頼するのが、時間的・精神的負担と費用のバランスが良い方法と言えるでしょう。
実家じまいは、心身ともに大きなエネルギーを消耗します。
疲れてしまったら、無理せず休みましょう。
一人で抱え込まず、兄弟姉妹やパートナーに気持ちを話したり、時には専門のカウンセラーに相談したりすることも有効です。
作業を一時中断し、心と体を休める時間を作ることが、最後までやり遂げるための秘訣です。
実家じまいは、単なる片付けではなく、家族の歴史と未来に向き合う一大プロジェクトです。
その道のりは、家財の整理から不動産の処分、複雑な法務・税務手続き、そして家族間の感情的な調整まで多岐にわたり、一人で全てを解決するのは困難です。
後悔のない実家じまいを実現するためには、計画的な準備と家族間の十分な話し合い、そして何より専門家の力を借りることが不可欠です。
不動産会社、司法書士、税理士、遺品整理業者など、それぞれの分野のプロフェッショナルに相談することで、トラブルを未然に防ぎ、経済的な負担を軽減することができます。
問題を先送りにせず、まずは専門家への相談から、未来への第一歩を踏み出しましょう。
訳あり不動産相談所では、実家じまいの相談も無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
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担当者③