
不動産の相続放棄とは?手続き方法と注意点を徹底解説
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老朽化したボロ屋は、放置すればするほどリスクが高まり、経済的にも精神的にも大きな負担となります。
しかし、適切な方法を選べば、ボロ屋を高く、そしてスムーズに売却することは十分に可能です。
この記事では、ボロ屋を放置する危険性から、具体的な売却方法、そして確実に売却できる「買取」という選択肢について詳しく解説します。
目次
「そのうち何とかしよう」とボロ屋を放置すると、金銭的な負担だけでなく、法的な責任や近隣トラブルなど、様々なリスクが刻一刻と増大していきます。
ボロ屋を所有しているだけで、毎年固定資産税や都市計画税が課税されます。
たとえ誰も住んでいなくても、所有者である限り納税義務からは逃れられません。
さらに、建物の状態を最低限維持するための修繕費や火災保険料、定期的な見回りにかかる交通費など、見えないコストもかさみます。
これらの費用は、放置する期間が長引くほど雪だるま式に膨れ上がり、家計を圧迫する大きな要因となります。
老朽化したボロ屋は、台風や地震などの自然災害によって倒壊したり、屋根瓦や外壁が飛散したりする危険性が非常に高い状態です。
万が一、飛散した部材が隣家を傷つけたり、通行人に怪我を負わせたりした場合、所有者は損害賠償責任を問われます。
過去には多額の賠償命令が出た判例もあり、個人の資産では賄いきれない事態に発展する可能性もゼロではありません。
これは単なる「不運」ではなく、管理を怠った所有者の責任となります。
管理不全の状態が続くと、自治体から「特定空家」に指定される可能性があります。
これは、倒壊の危険性や衛生上の問題、景観の悪化などが認められた場合に適用される行政措置です。
特定空家に指定され、改善勧告を受けると、固定資産税の優遇措置である「住宅用地の特例」が解除されます。
その結果、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がるという深刻な事態を招きます。
さらに、自治体からの改善「命令」に従わない場合は、最大50万円の過料が科されることもあります。
「負債のほうが多いから相続放棄すれば安心」と考えるのは早計です。
2023年4月の民法改正により、相続放棄をしても、その時点で「現にその家を占有している者(同居していた相続人など)」には、次の管理者が決まるまで管理義務が残ることが明確化されました。
つまり、相続放棄をしても、管理責任から完全に解放されるとは限らないのです。
管理を怠って損害を発生させれば、損害賠償責任を負うリスクは依然として残ります。
安易な相続放棄は、かえって問題を複雑化させる可能性があることを知っておきましょう。
ボロ屋を売却するには、いくつかの方法があります。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に最も適した方法を選ぶことが重要です。
手間やリスクを最小限に抑えたい方には「買取」がおすすめです。
| 売却方法 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 不動産買取 | ・現金化が早い ・仲介手数料が不要 ・契約不適合責任が免責 ・現状のまま売れる | ・売却価格が市場相場の7~8割程度 | ・早く確実に売りたい ・手間をかけたくない ・売却後のリスクを避けたい |
| 不動産仲介 | ・市場相場に近い価格で売れる | ・売れるまでに時間がかかる ・仲介手数料がかかる ・契約不適合責任を負う ・内覧対応などの手間がかかる | ・時間に余裕がある ・少しでも高く売りたい |
| 解体して更地で売る | ・買い手の幅が広がる ・建物の瑕疵リスクがなくなる | ・高額な解体費用がかかる ・固定資産税が最大6倍になる | ・土地の価値が高いエリアにある ・解体費用を捻出できる |
| リフォームして売る | ・高値で売れる可能性がある | ・多額のリフォーム費用がかかる ・費用を回収できないリスクがある | ・リフォーム費用を捻出できる ・DIYなどの知識がある |
不動産買取とは、不動産会社が直接買主となって物件を買い取る方法です。
最大のメリットは、圧倒的なスピード感です。
査定から決済・引き渡しまで、最短1ヶ月程度で完了するケースもあります。
また、不動産会社が直接買い取るため仲介手数料はかかりません。
さらに重要なのが、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)が原則として免責される点です。
売却後に雨漏りなどの欠陥が見つかっても、売主が責任を問われることはありません。
現状のまま、残置物ごと引き受けてくれる業者も多く、手間をかけずに確実に現金化したい方にとって最適な方法です。
不動産仲介は、不動産会社に依頼して一般の買い手を探してもらう方法です。
うまくいけば市場相場に近い価格で売れる可能性がありますが、ボロ屋の場合は買い手が見つかりにくく、売却までに1年以上かかることも珍しくありません。
また、売却価格に応じた仲介手数料や、売却後の契約不適合責任のリスクも伴います。
時間と手間をかけてでも、少しでも高く売りたいという方向けの選択肢です。
建物を解体し、土地として売却する方法です。
新築を希望する買い手にとっては魅力的に映り、土地の価値が高いエリアでは有効な手段となり得ます。
しかし、解体費用が先行投資として必要になります。
さらに、建物を解体すると固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなり、翌年から税額が最大6倍になるという大きなデメリットも忘れてはなりません。
売却が長引くと、税負担が重くのしかかります。
建物をリフォームして価値を高め、高値での売却を目指す方法です。
見た目がきれいになれば買い手の印象も良くなりますが、数百万円単位のリフォーム費用がかかることが多く、その投資額を売却価格に上乗せして回収できる保証はありません。
市場のニーズを読み間違えると、費用倒れになるリスクが高い、上級者向けの戦略と言えるでしょう。
買取価格が市場相場より低くなりがちなのは事実ですが、いくつかのポイントを押さえることで、査定額を最大限に引き上げることが可能です。
買取業者にも得意分野があります。
新築や築浅物件をメインに扱う業者にボロ屋を査定してもらっても、その価値を正しく評価してもらえない可能性があります。
一方で、ボロ屋や訳あり物件を専門に扱う買取業者は、独自の再販ノウハウや活用方法を持っています。
リフォームして再販するのか、解体して土地として活用するのかなど、物件のポテンシャルを最大限に引き出す術を知っているため、高額査定が期待できます。
買取価格は業者によって大きく異なります。
必ず複数の業者に査定を依頼し、提示された金額や条件を比較検討しましょう。
これにより、ご自身のボロ屋の適正な買取相場を把握できるだけでなく、業者間の競争を促し、より良い条件を引き出すことができます。
一見すると価値がないように思えるボロ屋でも、何かしらの「強み」が隠れている場合があります。
例えば、「駅に近い」「人気の学区内にある」「日当たりが良い」「土地の形が整っている(整形地)」など、土地に関する情報は特に重要です。
また、過去のリフォーム履歴やメンテナンス状況など、プラスになる情報は些細なことでも積極的にアピールしましょう。
これらの情報が査定額アップに繋がることがあります。
査定額が提示されたら、その金額に納得できない場合でもすぐに諦める必要はありません。
まずは担当者に「なぜこの査定額になったのか」という根拠を具体的に確認しましょう。
周辺の取引事例や、リフォームにかかる費用の見積もりなどを基に説明を求めることで、価格交渉の糸口が見つかることがあります。
明確な根拠なく「これが限界です」と繰り返すような業者とは、慎重に取引を進めるべきです。
大切な資産を託す買取業者は慎重に選ぶ必要があります。
悪質な業者に騙されないよう、優良な業者の特徴と見極め方をしっかりと理解しておきましょう。
悪質な買取業者の特徴や手口を以下にまとめました。
やりとりしている不動産会社に少しでも当てはまる点があれば、慎重に取引を進めましょう。
優良な買取業者の特徴は以下の通りです。
WEBサイトを調べたり担当者に質問して、当てはまっているか確認しましょう。
契約書にサインする前には、特に以下の項目に目を通し、内容を理解してください。
不明な点は、納得できるまで担当者に質問することが不可欠です。
ボロ屋の売却には、売却代金がそのまま手元に残るわけではなく、諸費用や税金がかかります。
事前に把握しておくことで、資金計画を立てやすくなります。
ボロ屋の売却時に必要な諸費用をまとめました。
なお、買取の場合は、不動産会社に支払う仲介手数料はかかりません。
| 費用項目 | 概要 |
|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙代 |
| 仲介手数料 | 不動産会社の仲介により不動産を売却する場合に必要 |
| 登記費用 | 抵当権抹消や住所変更登記などがある場合に必要 |
| 解体費用 | 更地で売却する場合に必要 |
| 不用品処分費用 | 家財などを処分する場合に必要 |
ボロ屋を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課税されます。
譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
税率は物件の所有期間によって異なり、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。
なお、以下の税率は、復興特別所得税として所得税の2.1%を上乗せした数字です。
相続したボロ屋を売却する場合、一定要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」が利用できる可能性があります。
この特例を受けるための主な要件は以下の通りです。
他にも特例を受けるための要件がありますので、詳しくは国税庁のサイトをご確認ください。
要件は複雑なため、自分が対象になるか不明な場合は、税務署や税理士、または特例に詳しい不動産会社に相談することをおすすめします。
自治体によっては、危険な空き家の解体や、空き家の利活用を目的としたリフォームに対して補助金制度を設けている場合があります。
「(自治体名) 空き家 解体 補助金」などで検索し、お住まいの自治体のウェブサイトを確認してみましょう。
これらの制度をうまく活用することで、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。
不動産買取は、仲介に比べてシンプルかつスピーディーに手続きが進みます。
まずはインターネットなどでボロ屋専門の買取業者を探し、数社に査定を依頼します。
物件の所在地や面積、築年数などの情報を伝えるだけで、おおよその査定額(机上査定)を知ることができます。
机上査定額に納得できれば、現地での訪問査定を依頼します。
担当者が物件の状態を詳しく確認し、正式な買取価格が提示されます。
価格や条件に合意すれば、売買契約を締結します。
この際、手付金(売買代金の5~10%程度)を受け取ることが一般的です。
契約書で定めた決済日に、司法書士の立ち会いのもと、売買代金の残金を受け取ります。
同時に、物件の鍵などを買主に渡し、所有権移転登記の手続きを行います。
これで引き渡しは完了です。
売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、納税する必要があります。
特例を利用して税金がゼロになる場合でも、申告自体は必要なので注意しましょう。
売却手続きをスムーズに進めるため、必要な書類は早めに準備しておきましょう。
これらの書類は、契約時や決済時に必要となります。
紛失してしまった書類や、手元にない書類がある場合は、早めに買取業者や司法書士に相談しましょう。
| 書類名 | 取得場所 | 備考 |
|---|---|---|
| 登記済権利証または登記識別情報 | 自宅で保管 | 紛失した場合は司法書士に相談 |
| 身分証明書、実印、印鑑登録証明書 | 役所 | 売主の現住所と登記上の住所が違う場合は、発行から3か月以内の住民票も必要 |
| 固定資産評価証明書 | 市区町村役場 | 自治体によってはマイナンバーカードでコンビニ取得も可 |
| 建築確認済証、検査済証 | 自宅で保管 | ない場合は不動産会社に相談 |
| 土地確定測量図、境界確認書 | 自宅で保管 | ない場合は不動産会社に相談 |
立地条件が悪すぎるなど、買取業者でも売却が困難なケースも存在します。
その場合は、以下のような最終的な選択肢を検討することになります。
自治体が運営する「空き家バンク」に物件情報を登録し、移住希望者など買いたい・借りたい人を探す方法です。
営利目的ではないため、通常の不動産市場では売れにくい物件でもマッチングの可能性があります。
初期投資はかかりますが、リノベーションを施して賃貸物件として貸し出す選択肢もあります。
安定した家賃収入を得られる可能性がありますが、空室リスクや管理の手間も伴います。
利益を求めず、とにかく手放したいという場合は、自治体やNPO法人などに寄付するという方法もあります。
ただし、活用が見込めない物件は断られるケースも多いのが実情です。
すべての手段を尽くしても処分が難しい場合、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内であれば、相続放棄を再検討する余地があります。
ただし、前述の通り管理義務が残る可能性や、預貯金などプラスの財産もすべて放棄することになる点を十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
ボロ屋を放置することは、固定資産税の負担増、倒壊による損害賠償リスク、特定空家指定など、百害あって一利なしです。
ボロ屋の売却にはいくつかの方法がありますが、「早く、確実に、手間なく、安全に」手放したいのであれば、専門の業者に買取を依頼するのが最も賢明な選択です。
買取なら、仲介手数料が不要で、売却後の面倒な責任からも解放されます。
ボロ屋の扱いにお困りの方は、訳あり不動産相談所にご相談ください。
訳あり物件を中心に買取を行っており、無料で査定依頼を受け付けております。
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