
事故物件のお祓いは必要なの? 気になる費用や依頼方法も徹底解説!
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不動産を探していると、相場より大幅に安い物件や、告知事項ありと書いている物件に出会うことがあります。
もしかしたら、それは「心理的瑕疵」のある物件かもしれません。
この記事では、心理的瑕疵の定義から告知義務、住む上でのメリット・デメリットや見分け方を解説します。
心理的瑕疵のある物件について、その定義から具体例を紹介します。
心理的瑕疵とは、物件そのものに物理的な欠陥はないものの、過去にその場所で起きた出来事や周辺環境が原因で、住む人が心理的な抵抗や嫌悪感を抱く可能性のある欠陥を指します。
「事故物件」と呼ばれるものの多くが、心理的瑕疵物件に該当します。
法律では、不動産会社は買主や借主の判断に重要な影響を与える事柄について、事実を隠してはならないと定めています。
心理的瑕疵もこの「重要な事柄」に含まれるため、売主や貸主は告知する義務があります。
心理的瑕疵物件は、主に以下のようなケースが該当します。
不動産取引で問題となる「瑕疵」には、心理的瑕疵を含めて4つ種類があります。
これらは物件の価値や契約内容に大きく影響するため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
瑕疵の種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
心理的瑕疵 | 住む人が心理的な抵抗を感じる欠陥 | 物件内での自殺・他殺・火災、孤独死で発見が遅れた |
物理的瑕疵 | 建物や土地そのものに存在する物理的な欠陥 | 雨漏り、シロアリ被害、建物の傾き、土壌汚染 |
法律的瑕疵 | 建築基準法や都市計画法などの法律に抵触している状態 | 接道義務違反、建ぺい率・容積率オーバー、市街化調整区域 |
環境的瑕疵 | 物件の周辺環境に存在する問題点 | 騒音、振動、悪臭、日照阻害、近隣からの嫌がらせ |
心理的瑕疵物件を取引する場合、売主や不動産会社には「告知義務」があります。
ここでは、告知義務の要点や期間、告知しなかった場合のペナルティを解説します。
2021年10月に国土交通省が策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」は、円滑な流通や安心できる取引を目的としています。
このガイドラインでは、他殺、自殺、事故死など自然死以外の死や、発見が遅れて特殊清掃が必要となった自然死などは告知が必要としています。
一方で、告知が不要なケースとしては、老衰や病死などの自然死、日常生活の中での不慮の事故(階段からの転落など)が挙げられます。
不動産の売買契約において、心理的瑕疵の告知義務の期間は定められていません。
たとえ数十年前の事件であっても、それが買主の購入判断に重大な影響を及ぼすと考えられる場合、売主は告知する義務を負います。
賃貸借契約の場合、告知義務の期間は事案の発覚からおおむね3年間とされています。
ただし、これはあくまで目安です。
社会的な影響が大きい事案については、3年を過ぎても告知義務が残る場合があります。
もし売主や不動産会社が告知義務を怠った場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。
買主や借主は、契約の解除、損害賠償請求、代金減額請求などを行うことができます。
実際に、過去の判例では、強盗殺人事件があった事実を隠して売買契約を結んだ売主に対し、裁判所が遅延損害金の支払いを命じたケースがあります。
心理的瑕疵物件は敬遠されがちですが、価格面でのメリットもあります。
ここでは、メリットとデメリット、そして心理的瑕疵物件を見分けるための方法を解説します。
心理的瑕疵物件の最大のメリットは、周辺の相場に比べて価格が安い傾向にあることです。
立地や間取りなどの条件が良くても、心理的瑕疵があると、売買価格や家賃が相場の1割〜5割程度安くなる可能性があります。
「過去の出来事は気にしない」「とにかく費用を抑えたい」という方にとっては、好条件の物件をお得に手に入れるチャンスになります。
また、購入後にリフォームやお祓いをすることで、心理的な抵抗感を和らげることも可能です。
デメリットで最も大きいのは心理的な負担です。
事件や事故があった場所で生活することに、不快感や恐怖心を覚える人は少なくありません。
また、近隣住民から噂話をされたり、好奇の目で見られたりする可能性もあります。
さらに、将来的にその物件を売却したり貸したりする際に、買い手や借り手が見つかりにくいというリスクも伴います。
売却できたとしても、購入時と同様に相場より安い価格になることも覚悟しなければなりません。
心理的瑕疵物件を意図せず契約してしまう事態を避けるために、契約前に以下を確認しましょう。
心理的瑕疵物件の価格は、相場の1割〜5割程度安くなる傾向にあります。
また、瑕疵の内容によっても値引き率は変わります。
例えば、相場から孤独死は1〜2割、自殺は2〜4割、他殺は3割〜5割以上安くなることが多いです。
なお、これらの値引き率はあくまで目安であり、具体的な瑕疵の内容やリフォームの有無などによっても変わります。
内見は、物件の状態を直接確認できる貴重な機会です。
不動産会社の担当者に以下のような質問を投げかけ、不安な点を解消しましょう。
これらの質問に対して、担当者が曖昧な返答をしたり、話をはぐらかしたりする場合は注意が必要です。
所有する物件が心理的瑕疵物件になってしまった場合、売却できるか不安を抱く方も多いでしょう。
しかし、適切な手順を踏めば、スムーズな売却は可能です。
心理的瑕疵物件は相場よりも価格が下がる傾向にありますが、重要なのは、瑕疵の内容を客観的に評価し、適正な価格を設定することです。
心理的瑕疵物件を売却する際は、瑕疵の内容を正直に伝えた上で、必ず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定額を比較することで、不当に安い値段をつけている不動産会社を避けることができます。
告知は、後のトラブルを防ぐために重要なプロセスです。
告知は必ず書面で行い、記録を残しましょう。
具体的には、不動産会社からもらった「物件状況等報告書」のフォーマットに、事件や事故の発生時期、場所、死因、その後の対応(特殊清掃の有無など)をできる限り詳細に記載します。
告知は、売買契約を締結する前までに行う必要があります。
情報を小出しにしたり、契約直前に伝えたりすると、買主の不信感を招いて契約が破談になる可能性もありますので、初めから正直に伝えることをおすすめします。
物件の売却方法には、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接売却する「買取」があります。
それぞれの特徴は以下の通りで、時間をかけてでも高く売りたいなら仲介、早く確実に手間なく売却したいなら買取が適していると言えるでしょう。
最後に、心理的瑕疵物件に関するよくある質問にお答えします。
まずは重要事項説明書を確認し、告知義務違反がなかったかを確認します。
もし告知義務違反が疑われる場合は、不動産会社や貸主(売主)に説明を求めましょう。
話し合いで解決しない場合は、弁護士などの専門家に相談し、代金減額請求や契約解除、損害賠償請求などを検討します。
原則として、老衰や病死などの自然死の場合、告知義務はありません。
ただし、発見が大幅に遅れ、遺体の腐敗などによって特殊清掃などが必要になった場合は、心理的瑕疵に該当し、告知義務が発生します。
対象物件の隣接住戸や、日常生活で通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した事案については、原則として告知義務はありません。
しかし、事件性が高く、報道されるなどして社会的な影響が大きい場合は、告知義務があるとされています。
心理的瑕疵物件は、過去の出来事により住む人が心理的な抵抗を感じる可能性のある物件を指します。
不動産取引においては、売主や不動産会社には告知義務があり、これを怠ると法的なペナルティが課せられる可能性もあります。
心理的瑕疵物件の購入や賃貸を検討する場合、価格の安さというメリットがある一方で、心理的な負担や将来の売却リスクといったデメリットも理解する必要があります。
物件情報や相場をよく確認し、不動産会社に直接質問するなどして、正確な情報を得ることが後悔しないための鍵です。
この記事の担当者
担当者③