
借地権の更新料の相場はいくらくらい? 計算方法や支払えない時の対処法も解説!
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借地契約を終了させて立ち退きを求めたいけれど、「正当事由が必要って本当?」「立退料はいくらぐらいかかるの?」など、具体的な手続きや費用面でお悩みではありませんか?
実は、借地の立ち退きを迫るには、立退料の相場や交渉のポイントだけでなく、借地借家法に基づく正当事由の要件や借地人とのトラブルを回避するための注意点をしっかり理解しておくことが大切です。
本記事では、立退料の算出方法やスムーズに交渉を進めるコツ、地主側にとって見落としがちな更新期限や建物買取請求権への対処などを分かりやすく解説しています。
「なるべく早く借地人に退去してほしい」「納得のいく金額で円満に解決したい」という方にとって役立つ情報を網羅しましたので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
借地借家法6条では、契約更新時であったとしても地主(貸主)都合で立ち退きを求めるには原則、「正当事由」が必要と定められています。
これは、建物の存在する借地契約は更新を前提とした契約であり、借主の保護を目的として規定されています。
この「正当事由」については、下記の事情を考慮した上で判断されます。
条文には「正当事由」が認められる具体的な条件は書かれておらず、実際には過去の判例などを参考にします。
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
借地の立ち退き要求を行うためには、対象の土地で地主の家を建てる、地主が現在行っている事業のために自社ビルを建てるなど、その土地に自己所有の建物を建てるべき事情(正当事由)があることが条件となります。
特に何も使用予定が無い、他に利用可能な土地がある場合は、現存する建物を取り壊して借主を退去させる正当な事由があるとまでは言えず、立ち退き要求は認められない可能性が高いです。
一方、借主側の事情も考慮されます。
借地人が現に借地上の建物に住んでいる場合は、その土地を使用する必要性があると考えられ、借地人側に正当性が認められやすくなります。
ただし、借地上の建物が長期間使用されていない、借地人が他に多くの不動産を所有しているなどの事情があれば、、借地人側は、地主の「正当な事由」に対抗する理由が弱くなります。
借地に関する従前の経過も、正当な事由を判断するために重要なポイントです。
次のようなものが該当します。
例えば、借地人が地代の支払いを長い間滞納していた場合は、地主側に正当事由が認められると判断されることがあります。
土地の利用状況では、次の項目が判断要素となります。
例えば、土地に借地人が住んでおらず建物が老朽化している場合や、建物が低層であり土地が有効に活用されていないと判断される場合は、地主側に正当事由があると認められやすくなるでしょう。
地主から立退料など「財産上の給付」の意思があることも必要です。
地主が借主に立ち退きを迫る際には立退料を支払うことが一般的で、後述する借主の賃料滞納などがない限り、立退料無しに立ち退きを迫ることは難しいでしょう。
また、立退料を支払う意思表示は必要ですが、退去してくれるかどうかは他の要素を含めて総合的に判断されます。
立退料を支払えば必ず退去してくれる、というわけではない点に留意しておきましょう。
なお、財産上の給付は立退料だけでなく、代替不動産の提供も財産上の給付に該当します。
既に解説のとおり、借地の立ち退き交渉には立退料という「財産上の給付」の意思表示が必要です。
では、立退料の相場が気になるところですが、実際には不動産の規模・賃料はケースバイケースのため、立退料の相場は存在しません。
しかし、判例上、建物用途によって立退料を算出する根拠が異なるため、どのように算出するかをご紹介します。
借地に建物を建てて利用している場合、借地人は地主に対して借地権という権利を持っています。
この借地権は、周辺の物件の賃料や路線価などから算出された借地権価格がつけられます。
戸建て住宅や共同住宅など、住居用途における立退料は、地主・借主の事情を勘案して借地権の何割、と算出されます。
そして引っ越し費用、新規の賃料・仲介手数料などを加えた上で、借主に提示する立退料を決定します。
店舗など事業用途の建物の立退料は営業補償を考慮して算出します。
借地で事業を行っていれば、退去から引っ越し完了までの間は営業ができず売り上げがありません。
そのため、休業期間中の利益を加えて立退料を算出する必要があります。
ただし、移転先で規模を拡大する、再開時期は少し余裕を持って行うなど、借主側の事情によっても立退料をどう考えるかが異なり、交渉する余地が出てくるでしょう。
立退料の算出はケースに応じて周囲の市場価格、判例等から高度な判断が必要になるため、交渉は専門家に依頼しましょう。
借地の立ち退きを迫るとしても、立退料を支払わなくてもいいケースが存在します。
そのケースは次の3つです。
詳しく解説します。
借地人側に賃料の滞納、無断転貸(また貸し)などの債務不履行や契約違反があれば、地主は契約解除を行うことができます。
この場合、借地人の事情で契約解除になったため、立退料の支払いは不要です。
ただし、賃料の滞納が1ヶ月程度では契約解除は難しく、通常は最低でも3~6ヶ月程度の滞納でなければ契約解除は認められません。
定期借地契約とは、契約の更新がなく、契約期間満了により確定的に賃貸借が終了する賃貸借契約をいいます。
また、一時使用目的賃貸借契約とは、選挙事務所や転居のための仮住居など、短期間の使用目的であると明らかな場合に締結される契約をいいます。
一時使用目的賃貸借契約には、借地借家法第28条が適用されません。
上記のような借地契約は、契約満了後は借地人が土地を返還する義務があるため、正当事由の有無にかかわらず、地主側からの立退料は不要となります。
駐車場や太陽光パネル設置など、建物の所有を目的としない借地契約であれば借地借家法の適用外であり、立ち退きに「正当な事由」は不要であり、立退料も不要です。
ここでご紹介したケースは代表的なものですが、特約事項があれば借地借家法等に反しない限りは、特約事項に従います。
立ち退き交渉の前に、改めてどんな借地契約を締結しているか契約書を確認しておきましょう。
立退料は地主と借地人との合意によって最終決定しますが、下記のようなケースでは高額になる可能性が高いです。
それぞれのケースについて、解説します。
借地人が建物を建てて住んでおり、他に頼れる家族がいない、引っ越し先の候補がないような状況では借地人の不利益が大きいと判断され、立退料が高額になる傾向にあります。
また、借地人が事業を行っているものの売上が芳しくなく、移転しても経費が増えるだけで、経営の好転が見込めない場合なども、現在の底地を利用する必要性が高いと判断され、立退料が高額になるでしょう。
借地人から更新料が支払われている場合は、借地契約が更新されていると判断される可能性が高く、地主側が不利になってしまい立退料も高額になると考えられます。
借地人は退去時に借地上に建てた建物を地主に時価で買取するよう請求できる権利、「建物買取請求権」が認められており、借地借家法第13条に規定されています。
そのため、借地人から建物の買取を要求された場合、地主は拒否することができず建物を時価で買い取らなければなりません。
立退料とは別に支払うべきお金のため、大きな負担になります。
地主側の立ち退き交渉のポイントは、次の項目を押さえる必要があります。
1つずつ、確認しましょう。
最初に、借地契約の期間を確認しましょう。
建物建築目的の借地契約は、普通借地契約と定期借地契約の2種類あり、契約終了時の処理についても違いがあります。
契約種類 | 普通借地契約 | 一般定期借地契約(移住用) |
---|---|---|
契約内容 | 30年以上 | 50年以上 |
契約の更新 | 可能(更新が前提) 最初の更新は20年以上、以降の更新は10年以上 | 原則、更新無し |
建物買取 請求権 | あり | 無し(契約時に設定) ※契約期間中の立ち退き要求では建物買取請求権あり |
契約方法 | 任意様式 | 公正証書で作成 |
事業用建物の場合など、更に細かい要件がありますが、「普通」借地契約か「定期」借地契約で立ち退き交渉の方針が大きく変わります。
普通借地契約は契約期間満了後でも正当な事由がなければ地主から立ち退き請求ができず、建物買取請求権も存在します。
一方、定期借地契約は契約期間満了後に退去することが前提の契約のため、借地人が退去しないような事態になっても、訴訟によって強制退去させることが可能です。
ただし、期間満了前であればどちらも立退料・建物買取請求権が発生するため、必ず借地契約の期間を確認しておきましょう。
地主側が提示する立退料は、借地契約の内容、借地人の事情(賃料滞納が無いか、土地・建物の使用状況等)、周辺の借地権相場などから総合的に考えて適切に提示しましょう。
また、立ち退き期限が短い場合には借主側の負担が大きくなるため立退料は高めに設定しておく必要があります。
立退料は最初に出す金額で相手の受ける印象が変わり、立ち退き交渉に大きく影響するため経験豊富な専門家に依頼して算出してもらいましょう。
建物買取請求権の有無は、立ち退きにかかる費用を大きく左右します。
そのため前述のとおり、借地契約の内容を確認しておくことが重要です。
普通借地契約の場合、または契約期限がまだ残っている場合には、建物買取請求権が発生します。
借地人から請求される可能性を想定しておきましょう。
普通借地契約では、更新期限(期間満了時)に地主が何も主張しなければ借地契約は自動的に法定更新され、次の契約期間に入ってしまいます。
そのため、地主は借地人に対して、正当な事由をもって遅滞なく更新拒絶を主張する必要があります。
更新期限経過後の立ち退き交渉は難航し、立退料も高額になるため、更新期限までに交渉が完了できるようにできるだけ早い時期から立ち退き交渉に着手することをおすすめします。
更新期限は立退料・建物買取請求権の発生に重要な要件のため、契約書を確認しておきましょう。
実際の立ち退き交渉の流れは次のようになります。
順番に見ていきましょう。
まずは、借地人に立ち退きを求める通知を行います。
交渉事なので念入りに準備をした上で、直接借地人に下記の内容を伝えます。
借地人には負担をかけることになるので、嘘をつかずに誠実に伝えることが重要です。
もしも、嘘や隠し事が後で発覚すると立ち退き交渉が白紙になる恐れもあるので、注意しましょう。
また、その時点で借地人から退去条件についての希望や懸念材料があれば、一旦聞いて持ち帰ります。
立ち退き交渉では、借地人の希望で歩み寄れる条件を提示したり、懸念材料を払しょくする提案をしたりと、お互いの要望をすり合わせます。
立ち退き交渉を成立させるためには立退料だけでなく、借地人の事情をよく聞く、転居先を探すなどのフォローも大切となります。
最終的に立ち退き時期・立退料が合意できるまで、交渉を行います。
もしも借地人が立ち退きを拒否した場合には、弁護士に依頼することも考えておきましょう。
立ち退きに関する合意ができれば、合意書を作成します。
口約束では合意した条件が曖昧になったり、相手方が「まだ交渉の余地がある」と考えて更新直前に新たな条件を要求してくるかもしれません。
借地人と信頼関係ができていたとしても、行き違いや漏れが無いように、後日の証とするために書面で残しておきましょう。
立ち退きには、次のような悩みがあるかもしれません。
立ち退き交渉には、民法や借地借家法などの法律知識、適正な立退料を算出する能力と経験、そして借地人との交渉力が必要です。
地主様がご自分で交渉することも可能ですが、トラブルになってしまい立ち退き交渉が決裂してしまうと借地契約が継続するという最悪の結果も考えられます。
少しでも立ち退き交渉に不安があれば、豊富な実績のある専門家に相談しましょう。
立ち退きしなくても土地だけ売ることは可能です。
借地人が立ち退きを拒否しており、なかなか立ち退きをめぐる問題が解決しない場合には、該当の土地(底地)だけを売却してしまうという方法もあります。
といった方は、特に、専門の業者に買取を依頼するのがおすすめです。
土地を手放したいのであれば、立ち退き交渉以外の方法として検討してみましょう。
ここでは、借地の立ち退きに関するFAQをご紹介します。
借地契約期間が満了してしまうと自動的に契約更新されてしまうため、立ち退き要求前の借地契約満了前に行わなければなりません。
また、立ち退き要求から借地契約期間満了までの時間が短いと立退料が高くなるため、できるだけ早めに行いましょう。
本文でも紹介したとおり不動産の規模や地主・借地人の事情、借地料が多種多様なため、立退料の相場は存在しません。
ただ、居住用建物であれば借地料の半年分+引っ越し代金・仲介手数料、事業用建物であれば更に営業補償金などが最低限必要と考えておきましょう。
また、建物買取請求権の買取代金は立退料と別になるため、注意しましょう。
地主から立ち退き要求をする場合、正当な事由があっても借地人に負担をかけることになるため、原則立退料を支払う必要があります。
しかし、借地人が更新を希望しておらず立退料不要で合意できた場合には立退料がゼロということもあります。
また、賃料滞納や無断転貸など、借地人の契約違反等を原因として契約解除する場合には立退料不要です。
借地人が立ち退きを拒否した場合には、弁護士に依頼して交渉しましょう。
また、立ち退き交渉開始から借地契約満了までの期間が短いと借地人への負担が大きく、立退料が高額になる傾向にあります。
交渉に時間がかかっても良いように、借地契約期間満了の半年〜1年前には着手しておきましょう。
立ち退きは地主に正当な事由があっても、借地人からすると突然の負担となるため、少しの行き違いでトラブルになるかもしれません。
そのため、下記のポイントに注意して交渉を行いましょう。
立ち退き交渉には法律知識に加えて周辺の借地料相場、判例からの立退料の相場、借地人を納得させる交渉術と経験が必要です。
専門家は多くの立ち退き交渉を経験しており、多くの実績とノウハウを駆使して交渉し、依頼者に有利な結果を出してくれるというメリットがあります。
また、長年付き合ってきた地主と借地人では話しにくい立退料などについても、第三者の立場として中立的な意見を出してくれるため、交渉がスムーズに進むでしょう。
立ち退き交渉を専門家に依頼することはよくある話で、特にデメリットもないため、立ち退き交渉には経験豊富な専門家に依頼しましょう。
今回は、借地契約の立ち退きをめぐる正当事由や立退料の相場、地主側が押さえておくべきポイントについて解説しました。
本文で紹介したとおり、借地契約の終了や立ち退き交渉には、借地借家法による正当事由の有無や、契約書の内容・期間確認、建物買取請求権への対応など、多岐にわたる注意点や手間がかかります。
また、トラブルを避けてスムーズに交渉を進めるには、当事者同士で話し合うだけでなく、専門家の経験やノウハウが欠かせません。
場合によっては、借地人に支払う立退料が高額になったり、長期にわたって膠着状態に陥ることもあるため、慎重に準備を進める必要があります。
「なるべく手間をかけずに借地を手放したい」「複雑な権利関係を整理して、次のステップに進みたい」とお考えの方は、買取業者に土地(底地)だけを売却することを検討してみましょう。
なお、訳あり不動産相談所では、正当事由が複雑な借地や立ち退きトラブルを抱えた不動産など、いわゆる“訳あり不動産”を専門に買取しています。
訳あり不動産の実績・ノウハウを豊富に持ち、一般の買取業者や仲介では難しい複雑な物件でも、しっかりと査定・買取できるため、他社より高い買取額が期待できます。
借地契約にまつわる立ち退き問題などでお困りの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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