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自身が所有している土地が、土砂災害特別警戒区域に指定されている場合、売却や相続の手続きに不安を抱えている人もいらっしゃるでしょう。
通称「レッドゾーン」と呼ばれるこの区域は、建築規制や資産価値の低下、住宅ローン審査への影響など、所有者にとって見過ごせない影響を与えます。
「どうせ売れないなら」と対応を先延ばしにしてしまいがちですが、実は評価額の下がり方や売却の難しさには明確な理由があり、理解しておくことで打てる対策もあります。
レッドゾーンが資産価値に与える影響や、なかなか売れない場合の対処法について詳しく解説します。
目次
土砂災害特別警戒区域とは、土砂災害防止法に基づき、急傾斜地の崩壊・土石流・地滑りなどが発生した場合に建築物に著しい損壊が生じ、住民に大きな危害が及ぶおそれがあると都道府県が指定した区域のことです。
レッドゾーンの基本的な位置づけと、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)との違いから整理します。
イエローゾーンは、土砂災害のおそれがある区域として警戒避難体制の整備を目的に指定されるもので、指定されても建築規制はかかりません。
一方レッドゾーンは、イエローゾーンの中でも建築物に著しい損壊が生じるおそれが特に高いと判断された区域で、特定の構造基準を満たさない建築が制限されるなど、より強い法的規制が伴います。
つまりイエローゾーンは「避難体制の対象」、レッドゾーンは「建築・利用そのものが制限される対象」という点で異なります。
レッドゾーンは、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)・土石流・地滑りという3種類の土砂災害それぞれで想定される土砂の到達範囲や衝撃力をもとに、都道府県が基礎調査を行い指定します。
具体的には、以下のような特徴の地形が指定されやすいとされています。
山あいの造成地や、谷筋に沿って開発された住宅地は特に該当しやすい傾向があります。
自分の土地がレッドゾーンに該当するかどうかは、国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。
住所を入力し、土砂災害の項目を表示させることで、対象エリアが色分けされて表示されます。
より正確な情報を確認したい場合は、市区町村の都市計画課や土木課の窓口に問い合わせることで、指定区域図や指定年月日などの詳細を確認することも可能です。
売却を検討する際は、事前にハザードマップの確認を済ませておきましょう。
レッドゾーンに指定されると、法的な規制や市場での評価の両面から、物件の資産価値にさまざまな影響が及びます。
建築上の制約という直接的な影響だけでなく、買い手側のローン審査の通りやすさや、税務上の評価額にまで影響が及ぶことも。
レッドゾーン指定が資産価値に与える影響について解説します。
レッドゾーン内で建築物を新築・増改築する場合、土砂の衝撃に耐えられる構造耐力(鉄筋コンクリート造の壁の設置など)を満たすことが建築基準法上求められます。
そのため通常の木造住宅をそのまま建て替えることが難しかったり、対応するための追加工事費が発生したりする場合があります。
こうした制約は、物件の利用価値が下がり、かつ将来的な建て替えのハードルを上げる要因にもなります。
金融機関は、融資の際に担保となる不動産の将来的な資産価値やリスクを審査します。
レッドゾーンに指定された物件は担保評価が下がりやすく、希望額の融資が受けられない、あるいは審査自体が通りにくい場合があります。
買い手がローンを組めなければ、そもそも購入自体を諦めざるを得なくなるため、物件が売れません。
現金での購入者に限定されるため、買い手が限られてしまうのです。
災害リスクの高さから、レッドゾーン内の土地は同じエリアの非該当地と比較して評価額が下がる傾向にあります。
国税庁の路線価においても、がけ地補正率や土砂災害特別警戒区域補正率といった減額調整が設けられており、公的な評価の面でも土地の価値が低く見積もられることも。
実勢価格でも同様の傾向が見られ、周辺相場より1〜3割程度低い水準で取引されることも珍しくありません。
「がけ地補正率・土砂災害特別警戒区域補正率」
相続税・贈与税の土地評価(路線価方式)で使う減額調整率です。
がけ地補正率は、がけ地を含む宅地について、通常の用途に使いにくい部分の面積割合と方位に応じて評価額を減額します。
土砂災害特別警戒区域補正率は、レッドゾーンに指定された部分の地積割合に応じて別途評価額を減額します。
「実勢価格」
実際に不動産の売買が成立した価格のことです。
国が公表する公示地価や路線価とは異なり、需要と供給、立地条件、災害リスクなど市場のリアルな状況を反映した現実に近い取引金額を指します。
同じ路線価のエリアでも、レッドゾーン指定の有無によって実勢価格には差が生まれやすい傾向にあります。
相続税や贈与税の計算に用いる財産評価において、レッドゾーンに該当する宅地は「土砂災害特別警戒区域内にある宅地」として、区域内地積の割合に応じた補正率が適用され、評価額が減額される場合があります。
相続税の負担が軽くなるメリットではありますが、税務上も資産価値が低いと公的に認められていることでもあるのです。
そのためいざ売却しようとした際、価格の低さを裏付ける材料にもなりえます。
土砂災害特別警戒区域の空き家は、売れにくい傾向があります。
資産価値そのものが下がるといった理由もありますが、空き家を売却するまでの過程でも、問題が生じる場合があります。
自治体や物件の状況によっては、土砂災害の危険性を軽減するために擁壁の設置や補強、排水設備の整備といった対策工事が必要になる場合があります。
こうした工事には数百万円単位の費用がかかることもあり、買い手にとっては購入価格に加えてこれらの負担まで見込まなければならないため、購入のハードルが上がります。
「擁壁工事」
盛土や切土によってできた斜面・がけ地が崩れないよう、コンクリートや石積みなどで壁状の構造物を設置し、土砂の崩壊を防ぐ工事のことです。
レッドゾーン内の土地では、既存の擁壁が老朽化・未設置の場合、崩壊防止のために新設や補強が必要な場合があります。
費用は規模や工法によって数百万円規模になることもあり、買い手と売り手のどちらが負担するか、価格交渉の材料にもなります。
近年は毎年のように大雨や土砂災害のニュースが報じられており、「レッドゾーン」という言葉自体に強い心理的な抵抗を感じる買い手もいます。
ハザードマップの認知度が上がったことで、購入前に自分でリスクを調べる人も多くなり、実際の危険度以上に「危ない場所」というイメージだけで検討候補から外されてしまうケースも少なくありません。
購入における心理的なハードルは、空き家の価格を下げるだけでは解消しきれない場合もあります。
レッドゾーン内の住宅は、大雨や土砂災害の警戒情報が発令された際に、自治体が指定する避難所まで移動しなければならない場合があります。
子育て世帯や高齢の家族がいる買い手にとっては、空き家の購入をためらう可能性があるでしょう。
利便性や住み心地とは別に、災害時は避難しなければならないといった不安が、購入のハードルを上げることにつながります。
レッドゾーン内の空き家は「売れにくい」という特性があるものの、手放す方法はあります。
それぞれの方法にはスピード感や価格、手間の面で異なるメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況や優先したい条件に合わせて選びましょう。
買取業者への直接売却に成功すれば、仲介手数料が発生せず、かつ一般の買い手を探す必要がないため、手間や負担なく空き家を現金化できます。
さらに買取業者によっては擁壁工事や解体などの対策を行わなくても、現状有姿で短期間で現金化できる場合があります。
とくに「訳あり物件」を専門に取り扱う業者であれば、レッドゾーンや再建築不可など、一般の仲介では敬遠されがちな物件でも相談に乗ってくれるでしょう。
融資審査の通りにくさや心理的な抵抗感といった売却の壁を気にせず取引を進められる可能性があります。
早く手放したいと考えている人にとって、最もおすすめの方法です。
仲介業者を通じて一般の買い手を探す場合、売却先の候補が広がるほか、高値での売却が期待できます。
ただしレッドゾーンという条件がネックとなり、買い手が見つかるまでに長期間かかる、あるいは最終的に見つからないケースもあります。
売却活動をしている間も固定資産税や管理の負担は発生し続けるため、時間的な余裕がある場合におすすめです。
価格をゼロにしてでも手放したいという場合は、無償譲渡という選択肢もあります。
個人間マッチングサービスや自治体の空き家バンクを通じて、譲渡先を探します。
レッドゾーンの物件は特に買い手・譲受先が見つかりにくい傾向があるため、ほかの方法と組み合わせて利用しましょう。
個人間でやり取りする場合は、契約書の作成や手続きを自分で進める必要があり、法的な場面では専門家に依頼したり相談したりするのがおすすめです。
老朽化した建物が売却の障害になっている場合、解体して更地にする方法もあります。
ただし、レッドゾーン内では更地にしても土地そのものの利用制約は残るため、解体すれば必ず売れやすくなるとは限らない点に注意が必要です。
また解体によって住宅用地特例が外れ、固定資産税が上がることもあわせて考慮し、解体費用に見合う効果があるかを慎重に見極める必要があります。
土砂災害特別警戒区域の空き家は特殊な条件下にあるため、通常の業者へ依頼しても断られる可能性があります。
早く・手間をかけずに・確実に手放したいという方には、訳あり物件専門の買取業者への相談がおすすめです。
一般の仲介業者や大手不動産会社では、レッドゾーンのような災害リスクのある物件は敬遠されがちです。
「訳あり不動産相談所」は再建築不可・共有名義・事故物件など、いわゆる訳あり物件を専門的に取り扱ってきた実績があります。
災害リスクを織り込んだ独自の査定基準を持っているため、一般的な不動産会社では断られてしまうような物件でも、まずは相談してみましょう。
擁壁工事や建物の解体には多額の費用がかかりますが、「訳あり不動産相談所」なら、現状有姿で売却できる可能性があります。
現状有姿での売却に成功すれば、工事や解体の必要がないため、売却前にまとまった費用を用意する必要がなく、余計な手間や時間をかけずに手放せます。
相続登記が未了、共有名義で名義人と連絡が取れないなど、レッドゾーンの空き家には権利関係が複雑なケースも少なくありません。
「訳あり不動産相談所」では、司法書士や弁護士などの士業と連携したワンストップ体制を整えているため、こうした法的な手続きが絡む案件でも、複数の窓口を自分でまわることなく一括して相談・対応を進められます。
訳あり不動産相談所は全国の物件に対応しており、「地方の実家がレッドゾーンだった」「遠方で管理できない」といったケースでも相談可能です。
査定や相談は無料で行っており、「売れるかどうかも分からない」という段階でも気軽に問い合わせが可能。
まずは物件の状況について、無料相談・査定に申し込んでみましょう。
レッドゾーンの指定は、建築規制や融資のしにくさ、心理的な抵抗感など、複数の要因が重なって「売れにくい」状況を生み出しがちです。
しかし、指定を受けたからといって手放す方法がないわけではありません。
時間をかけて仲介での売却を目指す道もあれば、対策費用をかけずに現状のまま買い取ってもらう道もあります。
売れないからと先延ばしにするほど管理の負担は積み重なっていくため、早い段階で自分に合った出口を検討し、一歩を踏み出すことが大切です。
この記事の監修者

藤井亮 宅地建物取引士