筆界未定地の売買は可能?リスクと対処法を徹底解説

不動産の売買において、「筆界未定地」という言葉をご存知でしょうか?
筆界が未定のまま売買を行うと、後々のトラブルに発展する可能性もあるため、慎重な対応が必要です。
本記事では、筆界未定地の定義や発生理由、売買の可否、リスクとその対処法までをわかりやすく解説します。
目次
筆界未定地とは?
筆界未定地とは、登記簿上で土地の境界線(筆界)が明確に定まっていない土地のことを指します。
法務局では筆界を管理していますが、隣接地との境界が確定していない場合、登記上で「筆界未定」と記載されることがあります。
これは「どこからどこまでがこの土地か」が法律上曖昧な状態を意味します。
所有権界との違い
筆界とは、法務局が登記簿上で管理する土地の境界線のことで、いわば公的に認められた土地と土地の区切りを指します。
地番ごとの線引きであり、原則として勝手に変更することはできません。
これに対して所有権界とは、実際に土地を使用している人が「ここまでが自分の土地だ」と認識している範囲を意味します。
とくに筆界未定地では登記上の境界が明らかでないため、所有権界と筆界が大きくずれている可能性があります。
たとえば、長年使用していた土地の一部が実は隣地の登記範囲だった、といったトラブルに発展することもあります。
こうしたリスクを回避するには、筆界と所有権界の違いを正しく理解し、測量や境界確認を通じて、両者のずれを明確にしておくことが重要です。
筆界未定地が発生する理由とその問題点
筆界未定地が発生する主な理由には、以下のような点が挙げられます。
- 古い登記情報が更新されていない
- 障害物があり物理的に計測できない
- 土地の境界について所有者間でトラブルがあった
- 土地所有者が長年不在で境界確認が困難
このような理由から筆界未定地に認定されてしまうと、以下のような制限を受けます。
分筆・合筆ができない
筆界が未定の状態では、土地を分けたり(分筆)、まとめたり(合筆)することができません。
なぜなら、分筆・合筆には土地の正確な境界と面積が確定していることが前提条件だからです。
筆界未定地では、隣接地との境界が不明確であり、正確な測量図を作成できないため、法務局での手続きが受理されません。
地積更正ができない
登記簿に記載された土地の面積(地積)に誤差があっても、筆界未定地では更正手続きが行えません。
地積更正とは、実際の測量結果と登記内容に差がある場合に、正しい面積に修正する手続きです。
しかし、筆界未定地では基準となる境界が確定していないため、何を基にして面積を修正すれば良いのか判断できないという問題が生じます。
地目変更ができない
筆界未定地では、土地の用途変更(たとえば畑から宅地への変更)に伴う「地目変更登記」ができない場合があります。
地目変更には、その土地が特定の用途として明確な境界・面積を持っていることが求められます。
筆界が未定のままでは、変更後の土地の範囲や位置が不明瞭になってしまうため、登記官の判断で登記が保留・却下される可能性があります。
これらの制限により筆界未定地は市場価格での売却が困難となります。
また、制限を買主に適切に伝えて売買取引をしないと、思わぬトラブルに発展する恐れがあります。
筆界未定地は売買可能だが注意が必要
筆界未定地の売買は法律上禁止されているわけではありません。
しかし、以下のような注意点があります。
- 土地の面積が確定できないため、売買価格が妥当か判断しづらい
- 将来の境界確定で隣接地とのトラブルに発展する可能性
- 金融機関の融資審査が通らない場合がある
- 建築許可や開発許可に制限が出ることがある
つまり、筆界未定地の売買には、法律・測量・金融の面でリスクを伴うという点を十分に認識しておく必要があります。
筆界未定地を売買するには
筆界未定地は売買こそ可能ですが、境界が不明確なため、トラブルや法的な制約を招くリスクが高い物件です。
そのため、売主・買主ともに慎重な対応が求められます。
ここでは、筆界未定地を売買する2つの方法を解説します。
事前にしっかりと準備を行うことで、契約後のトラブルを未然に防ぐことができます。
筆界未定地を解消する
まず一つ目は、土地家屋調査士などに依頼して筆界を確定させ、通常の土地として売却できる状態に整える方法です。
境界確定測量を行い、登記内容を正確に整備することで、買主にとっても安心感があり、スムーズな取引が可能になります。
筆界特定制度とは?
境界確定測量は、原則として隣接する全ての土地所有者の協力と合意が必要です。
しかし、中には立ち会いを拒否したり、境界について合意が得られなかったりするケースもあります。
そのような場合には、「筆界特定制度」の検討をすると良いでしょう。
筆界特定制度とは、法務局が第三者的な立場で筆界を明確にする制度です。
土地家屋調査士や筆界調査委員が調査を行い、最終的に登記官が筆界を特定します。
隣接地との合意が難しい場合でも、この制度を活用することで、筆界未定の状態を解消する糸口となります。
なお、筆界未定地を解消するメリットは以下の通りです。
- 境界に関する将来的なトラブルを防げる
- 市場価格に近い価格での売却が期待できる
- 分筆や建築など、土地の利用制限が解消される
デメリットは以下の通りです。
- 境界確定測量や登記手続きに数十万円~数百万円の費用がかかる
- 隣地所有者との交渉が必要で、合意形成が難航することもある
- 手続き完了までに数ヶ月~1年以上かかる場合がある
- 隣地所有者が非協力的な場合は、解決が大幅に遅れる可能性もある
この方法は、時間と費用をかけてでも高く売りたい人向けです。
実績豊富な不動産会社に相談する
もう一つの方法は、筆界を確定させないまま「筆界未定地であることを了承した専門業者」に現状有姿で売却するというものです。
とくに、「訳あり不動産相談所」のような訳あり物件を専門に扱う会社であれば、境界の問題も織り込み済みで対応してくれます。
メリットは以下の通りです。
- 境界確定の手間や費用が不要
- 隣地との交渉を自分で行う必要がない
- 仲介を介さずに短期間で現金化できる可能性が高い
- 相続や資産整理の一環として、早期処分を希望するケースにも最適
デメリットは以下の通りです。
- 一般市場より売却価格が安くなる傾向がある
- 地域や立地によっては、買取対象外となることもある
この方法は、早く手放したい・手間をかけたくない人向けです。
よくある質問(FAQ)
以下は筆界未定地に関するよくある質問とその回答です。
Q1. 筆界未定地でも固定資産税はかかりますか?
はい、筆界が未定であっても登記上の所有者に対して課税されるため、固定資産税の支払い義務があります。
Q2. 筆界確定にかかる費用は?
土地の面積や状況にもよりますが、測量費用や調査費用として数十万〜百万円以上かかることがあります。
これは隣接地との交渉次第で時間も変動します。
まとめ|筆界未定地の売買には専門家のサポートを!
筆界未定地は売買こそ可能ですが、大きなリスクや不確定要素を含む不動産です。
売買を検討している場合は、必ず実績のある不動産会社などの専門家に相談し、適切な対処を進めることをおすすめします。
訳あり不動産相談所は筆界未定地を含む訳あり物件の買取に豊富な実績を持ちます!
専門のスタッフが丁寧にサポートいたしますので、お困りの際は是非お気軽にお問い合わせください!
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