囲繞地通行権の通行料の相場はいくら? 計算方法や無償になる場合も解説!

袋地の所有者には、囲繞地(いにょうち)の一部を通過して、公道に出るための囲繞地通行権が法律で認められています。
囲繞地通行権を行使するためには、通行料の設定および支払いがセットです。
当記事では、囲繞地通行権の通行料の相場および計算方法、通行料が無償になる場合についてご紹介します。
通行料の支払いに関するトラブル回避の助けになれば幸いです。
囲繞地通行権とは?
囲繞地(いにょうち)通行権とは、袋地に居住する方(所有者)が、他者の所有する囲繞地を通って道路(公道)に出るための法律で定められた権利です。
囲繞地通行権を有することで、囲繞地の通行時に不法侵入に問われることはありません。
種別 | 概要 |
---|---|
囲繞地 | 袋地の周辺を取り囲む土地 |
袋地 | 他者が所有する土地に取り囲まれた土地 |
準袋地 | 他者が所有する土地と、河川や沼や池や崖などに取り囲まれた土地 |
ただし、囲繞地の所有者への損害が最小限に留まる範囲での通路の設定が求められます。
それから、囲繞地の所有者は、袋地の所有者の囲繞地通行権を拒否することはできません。
一部の例外を除き、相場に見合った通行料を納めることで、囲繞地通行権が行使される形です。
囲繞地通行権と通行地役権の違い
囲繞地通行権と通行地役権は、いずれも袋地の所有者が囲繞地を通過して、建築基準法で定められた道路に出るための権利です。
囲繞地通行権は権利として存在するだけであり、権利の行使のためには、囲繞地の所有者との合意および、契約が必要となります。
囲繞地通行権の契約設定後には、通行地役権へと切り替わる形です。
囲繞地通行権 | 通行地役権 | |
---|---|---|
民法 | 民法第210条~第213条 | 民法第280条 |
契約および合意 | 権利として認められてはいるが、通行権設定の際には、囲繞地と袋地の所有者同士の合意および契約が必須 | 囲繞地と袋地の所有者同士の合意および契約が必須 |
期間 | なし | 囲繞地と袋地の所有者の契約時に決定 |
通行可能な範囲 | 囲繞地の所有者への損害が最小限に留まる範囲 ※建築基準法の接道義務を満たす2m程が目安 | 囲繞地と袋地の所有者の契約時に決定 |
通行料 | 権利の行使の際には、支払義務が生じる | 囲繞地と袋地の所有者の契約時に決定 |
登記 | 不要 | 第三者に対抗するためには、所轄の法務局への地役権設定登記が必要民法第177条 |
囲繞地通行権の通行料とは?
袋地の所有者が囲繞地通行権を行使する際には、一定の通行料を納めなければなりません。
民法第212条に明記された「償金」が通行料です。
囲繞地通行権の通行料は、1年ごとに支払うことになります。
※道路の開設の際に生じた損害は除く
通行料の金額については、囲繞地通行権の設定契約の際に決めることが一般的です。
後述する不動産鑑定士による土地の鑑定評価額などが、通行料の目安となり得ます。
通行料の設定には囲繞地通行権の契約が必要!
通行料を設定するためには、袋地(要役地)所有者と囲繞地(承役地)所有者が、囲繞地通行権契約を締結しなければなりません。
※賃貸借契約や使用貸借契約
契約の際には、次の項目を決めておきましょう。
- 通行料
- 通行の範囲
- 通路の位置および幅員
- 通行時間帯
- 通行の方法(徒歩や自転車など)
- 契約期間
囲繞地通行権の契約後は、通行地役権へと切り替わるため、所轄の法務局への地役権設定登記が可能です。
ただし、地役権設定登記を済ませたとしても、袋地の接道義務(建築基準法)は果たされません。
- 敷地が幅員4m以上の道路に対して2m以上接している(接道義務)
将来的に袋地の建物の建て替えや増改築を想定している場合には、囲繞地の所有者より、通路部分の土地を購入または、同じ面積の土地と等価交換する必要があります。
通行料の相場の計算方法
通行料の金額は法的に定められていません。
そのため、以下のいずれかを参考にして、通行料を算出するのが一般的です。
- 近隣の囲繞地通行料
- 近隣の駐車場料金
- 土地鑑定評価
当事者同士の話し合いで決まるのがベストですが、不動産の専門家のアドバイスを参考にするのも良いかもしれません。
近隣の囲繞地通行料を参考に算出する
同様の囲繞地が近隣に所在するようであれば、近隣の囲繞地通行料が指標となり得ます。
とはいえ、個人が近隣に同様の囲繞地を見つけられるかどうかはわかりません。
仮に見つかったとしても、囲繞地の所有者に唐突に通行料の金額を質問するのもハードルが高そうです。
この方法を採用する場合、不動産の専門家への相談および協力を仰ぐのが、現実的な対処策となるでしょう。
近隣の駐車場料金を参考に算出する
通行料の計算方法として、近隣の月極駐車場の料金を参考にするやり方もあります。
普通乗用車1台分の駐車スペースの幅(2.3m~2.7m)が、建築基準法の接道義務を満たす幅員2m以上の目安となることがその理由です。
土地鑑定評価を基準にする
近隣に同様の囲繞地や、参考になりそうな月極駐車場が存在しない場合、不動産鑑定士による土地鑑定評価が通行料の基準となり得ます。
鑑定までの時間や不動産鑑定士への報酬が発生しますが、周辺相場に見合った通行料が算出できるのは大きなメリットです。
囲繞地の通行料が無償になるケースもある
囲繞地の通行料は有料が基本となりますが、中には通行料が無償となる以下のケースも存在します。
- 元々の通行料が無料
- 分筆や譲渡によって発生した袋地
- 共有物分割後に発生した袋地
- 競売後に発生した袋地
元々の通行料が無料
元々の囲繞地の通行料が無料であれば、通行地役権(民法第280条)の扱いとなるため、その後も無料の通行料が適用されます。
契約書が存在しなくとも、口頭での合意(無償の通行地役権)が成立していることがその理由です。
相続での代替わりや、物件の売買によって、袋地の所有者が変更した際にも、通行料の無料が継続されます。
分筆や譲渡によって発生した袋地
分筆や譲渡によって袋地が発生した場合には、囲繞地の所有者は袋地の所有者に対して、通行料を請求することが認められていません。※民法第213条
分筆とは、ひとつの土地を2つ以上に分けた登記手続きです。
譲渡には、売買や相続や贈与が該当します。
ただし、袋地の所有者が「通行料を支払いたい」と望むのであれば、話し合いの後に通行料を納めることは可能です。
共有地分割後に発生した袋地
共有地分割とは、共有名義で登記していた土地を、分筆後にそれぞれの名義人ごとの単独所有へと変更するための手続きです。
共有地分割によって袋地になった場合にも、民法第213条に基づき、囲繞地の通行料無料が適用されます。
囲繞地と袋地の所有者双方の同意が得られた場合に限り、通行料の支払いおよび受け取りが可能です。
競売後に発生した袋地
競売で袋地になった場合にも、分筆や譲渡や共有地分割と同様、囲繞地の通行料の支払義務が生じることはありません。※民法第213条
競売とは、住宅ローンの滞納によって債権回収が困難となった不動産への、裁判所を通した不動産の抵当権を有する債権者(金融機関)への弁済措置です。
囲繞地通行権の通行料に関するよくある質問
ここからは、囲繞地通行権の通行料でありがちな質問と、その回答をご紹介します。
- 囲繞地通行権は拒否できる?
- 囲繞地通行権の最低幅は?
囲繞地通行権は拒否できる?
囲繞地通行権は、民法第210条~第213条「公道に至るための他の土地の通行権」にて定められた袋地の所有者に適用される権利です。
囲繞地の所有者が囲繞地通行権を拒否することは、法的に認められていません。
双方の話し合いにて、囲繞地通行権の設定契約を結ぶのが望ましいかと思われます。
囲繞地通行権の最低幅は?
囲繞地通行権にて設定する通路の幅の目安として、建築基準法の接道義務を果たす2m以上が挙げられます。
ただし、囲繞地通行権にて2m以上の幅員の通路が設定されたとしても、袋地が再建築不可であることは変わりません。※軽微なリフォームを除く
袋地を再建築可能とするためには、次のいずれかの方法を選択する必要があります。
- 通路に該当する土地を囲繞地の所有者より購入する
- 通路に該当する土地と同じ面積分の土地の等価交換
- 不動産業者への売却(買取)
確実に再建築可能に切り替わるのは、囲繞地所有者からの土地の購入もしくは、同じ面積の土地との等価交換です。
袋地所有者の資金に余裕があり、なおかつ囲繞地所有者との良好な関係を築いていることが前提となるでしょう。
袋地は囲繞地とセットで売却することで、市場価値が生まれます。
袋地単体での売却を希望する際には、専門の不動産業者への買取がおすすめです。
通行料をめぐる金銭トラブルを回避したいなら売却も検討!
囲繞地通行権は法律で認められた権利です。
袋地の所有者が権利を行使するためには、囲繞地の所有者との囲繞地通行権の設定契約が求められます。
ただし、通行料の金額に関しては法律で明確に定められていないことから、金銭トラブルが発生する可能性は否定できません。
通行料をめぐる金銭トラブルを回避したいのであれば、不動産業者への売却を検討してみてはいかがでしょうか。
訳あり不動産相談所は、袋地を含む再建築不可物件の買取実績を豊富に有しています。
是非一度、ご相談ください。
この記事の担当者

担当者③